【金森式】なぜ「断糖高脂質食」がダイエットに効くのか──旧石器時代、人類の主食はアブラ(骨髄)だった
2022年03月17日『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』著者、金森重樹氏インタビュー【第1回】
糖質の摂取を極限までカットし、良質な脂をたっぷり摂る。
ダイエット界のこれまでの常識を覆す「断糖高脂質ダイエット」について解説し大きな話題となった『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(著:金森重樹、刊:扶桑社)の刊行から一年半。
著者である金森重樹氏が築き上げたダイエット方法の根幹をなす理論はSNSなどで「#金森式」と呼ばれ、多くの人に支持されている。
自らも#金森式のライフスタイルを実行し続け、2か月で30kg減量した体形をキープすると同時に、金森式の理論をさらに進化させたという金森氏が次に提唱するのは「健康長寿」だ。
金森式と「健康長寿」の関係とはいったいどういうものなのか。
昨年末に新著『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』(扶桑社)を上梓した金森氏に話を聞いた。
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金森重樹(かなもり・しげき)
1970年生まれ。東京大学法学部卒。大学卒業後、フリーター時代に1億円超の借金をつくる。不動産会社に就職後、29歳で行政書士として独立。現在は、不動産、建築、介護事業など年商100億円の企業グループオーナー。監訳した『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事 高脂質・低糖質食で、みるみる腹が凹む』(SBクリエイティブ)は話題となり、また新刊の『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)はamazonのベストセラー1位に。「金森式」と呼ばれる断糖高脂質食ダイエットの普及を通じて、多くのフォロワーから支持されている。
Twitter:金森重樹@ダイエットonlineサロン
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骨髄主食仮説が実証され「断糖高脂質食」こそが人類の本来の食事法だと証明された
※このインタビューはオンラインにて行われました。
──金森式の実践者にはもう常識かもしれませんが、ダイエットに非常に効果的と大きな話題を集めた「断糖高脂質食」とはどんな食事法なのか、あらためて伺ってもよろしいでしょうか。
金森重樹(以下・金森):まず断糖高脂質食というのは、そもそも食事法ではありません。ヒトの体を最適化するために、ヒト本来の機能へと調整をかけていくものです。
まず栄養素の話をすると、そもそもヒトは骨髄や脳を主食としていたんです。2019年にケセム洞窟から、動物の骨を保存食として食べていた跡が見つかったんですよ。
以前から人類学者の島泰三さんっていう人が、「ヒトは手や歯の構造上、もともと骨髄主食である」という説を唱えていますが、ついに人間が動物の骨を割って、骨髄を食べていたという、その証拠が見つかったんです。
──ということは、そもそもヒトは、野菜を一切とっていなかったんですか?
金森:少なくとも旧石器時代は脂肉魚を主食としていました。そもそも野菜は農業が始まってからのもので、野菜と品種改良されていない野草とは、まったく違います。
また「緑の革命」以後の農薬などを使う慣行農業はさらに手が加えられています。それは置くとしても、野菜には非ヘム鉄というものが含まれていて、肉にはヘム鉄があるんですが、非ヘム鉄ってほとんど吸収されないんです。非ヘム鉄って鉄剤として保険適用で処方されますけど、それを1年も飲んでも、なにもよくならないです。
動物性のものから摂れるヘム鉄じゃないと駄目だっていうことは、つまりヒトはもともと動物性のものが主食だってことです(※)。
あるいは新鮮な肉を食べる大型食肉、ライオンとかって胃酸の酸性度が強くないんですね。ところが、それに比べるとヒトの胃酸のpHは高い。なぜかというと腐肉食、つまりヒトは腐った肉を食べるようになっているから。
──なるほど。そういう科学的根拠が#金森式の理論のベースにあるんですね。でも野菜の味や食感が好みだという人もいるし、肉ばかりでなく「野菜が食べたい」って場合もあると思うのですが、野菜を摂ることは不要なのでしょうか。それともむしろ有害にあたりますか?
金森:最新刊の『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』にも書いたんですが、まずヒトの腸の長さの問題があります。哺乳類の食性と腸の長さをみると、ヒトの腸は体長の4.5倍になります。ネコやオオカミ、ライオンもだいたい4倍か、そこに届きません。
一方で食性が草食の生き物であるヒツジやウシは、だいたい20倍から30倍。かなり腸が長いんです。これは、直接、草の栄養を吸収するわけではなく、腸内細菌に草を分解させることで、間接的に栄養を摂っているから。長く発酵させるために長い腸があるし、ウシに至っては胃がいくつもあるじゃないですか。ゆっくり時間をかけて、細菌が生み出した栄養を摂取する。一方で僕らには、草を消化するだけの力がないわけ。だって体長の4.5倍の腸の長さしかないんだから。
※画像は『『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』(扶桑社)より引用
金森:そういうことを踏まえると、人が野菜を食べるというのはどう考えても理にかなっていないわけです。例えばそれをすごくわかりやすい例でいうと、断糖高脂質食を実践している僕らは、ほとんどおならが出ないんですね。
──おならをしない!?
金森:しません。なぜかというと、野菜を食べないから。野菜を微量でも食べると、腸内で発酵が起こる。だからガスが出るわけです。そういう状態が本当に人体にいいのか悪いのか。
──身体にいいと思って、野菜を食べているけれども、実際は身体の負担になっている……ということでしょうか。これまでの栄養学の常識からすると、かなり過激な意見にも聞こえます。
金森:野菜ばかりでなく、牛乳もそう。日本にある牛乳は大半がβA1カゼインで腸に悪影響が生じるため、有害です。東アフリカにはハッツァ族という狩猟採集民族がいまして、彼らの腸内細菌を調べたデータがあるんです。ハッツァ族には、腸内にビフィズス菌が存在しません。つまりビフィズス菌が善か悪かっていうのは、状況依存的な話であって、どんな生活を送っているかによるんです。
人類は7万年前にアフリカで誕生し、アフリカを出て4千年かけて北欧にまで広がっていきました。ところが、地球の高緯度地域の日射量ではビタミンDが欠乏することになり、それがカルシウム欠乏を招いたため、仕方がないから彼らは、本来ヒトが飲んでいなかったミルクを飲むようになった。ゆえに成人したら消滅するはずの乳糖の分解能力を、そのまま維持できるように進化した。
けれどもそれは北欧に行った人たちであって、我々アジア人とは違う。だから、ヨーロッパとかアメリカの研究データをもとにして、ビフィズス菌を腸内に入れるのは、我々日本人に最適とは言えません。なぜならば我々は牧畜民族ではないから。
──なるほど、野菜ばかりではなく、我々のような東アジア人はあらゆる糖質が必要ないと。
なぜラーメンやピザがやめられないのか
※画像は『『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』(扶桑社)より引用
金森:そう。でも日本はかつて戦争に負けたわけじゃないですか。そこでGHQが牛乳を強制的に飲ませようと思ってパン食を推し進めた。牛乳もパンも危険ですよ。小麦自体、1940年から60年代にあった緑の革命で生産性の向上を目指した時に、グルテンが9パーセントから13パーセントになるよう遺伝子を改変したんです。その改変した小麦を、農薬もセットで作ったことが、かなり劇的に我々の病気を増やした直接的な原因でもあります。
小麦自体は、いわば麻薬です。小麦を代謝によって分解した段階で、グルテンからエクソルフィンって物質ができます。このエクソルフィンはモルヒネに似た構造式のポリペプチドに分解されるもので、これが脳に快楽をもたらし、依存性、中毒性がある。
金森:だから小麦、つまり、わかりやすく言えば我々がラーメンとかピザをなかなか絶対やめられないっていうのは、そもそも麻薬的な食べ物だからです。その意味では、小麦っていうのは世界で1番繁栄している植物といってもいいかもしれません。
──「小麦は麻薬」。個人的にも、たしかに糖質には依存性がある気がします。実感としてちょっとわかる分だけ、すごく怖い話ですね。
金森:我々は農作によって進化したと思っているけれども、むしろ逆だと。そういうことを考えた時に、僕は犬とヒトの関係がいちばん大切だと思っているんです。
――犬ですか? それはどういうことなのでしょうか。
金森:なぜ犬は、歴史的にヒトとお友達の関係になれたんですかね。
――旧石器時代に狩猟生活を営んでいた時に、犬と一緒に骨と肉を食べていた、ということでしょうか。一緒に狩りをしていたとか。
金森:それは犬を飼い慣らした後の話です。ヒトっていうのは、もともと霊長目の中でも植物や果実を食べていた猿から、適応によって脂を食べることが主食になった生き物なんです。つまり、後から肉を食べるようになった。ところが、ライオンとかオオカミは、根っからの肉食なんですよ。もともと食肉目っていうくらいですから。
それを踏まえて、ヒトと家畜化されたオオカミ(犬)が同時埋葬されている地域を見ると、すべてが北極圏もしくはツンドラ、永久凍土といった地域なんです。暖かい地方ではひとつも、犬とヒトの共存って存在していなかったんです。なんでそういうことが起こるかっていうと、タンパク質の毒性を防ぐため。
――タンパク質の毒性とは?
金森:我々は進化によってタンパク質を摂るようになった生き物なので、肉を主食とするエスキモーであっても食事の45パーセントをタンパク質にするのが限界値なんです。彼らでさえも45パーセント以上のタンパク質を摂ってしまうと、その毒性で死ぬんです。だから、ヒトが犬にあげる前に食べていたのは、脳であり内臓であり脂だった。
で、ヒトが食べない部分の赤身肉を捨てる時に、犬にそれをやっていたんです。それは、食べ残した赤身肉を狙ってくる食肉目を引き寄せないないという点でも利点があります。後々には、犬が警護の役割も持ってくることにもつながってくるし、赤身肉を分け与えることで飼い慣らして狩猟にもつかうようになった。もしも、犬とヒトの主食が、同じ赤身肉で被ったとしたら、我々は直接犬を狩って食べていたはずです。
――なるほど、たしかにそれはそうですね。
人の主食は「アブラ」である
金森:ということはヒトの主食は脂なのであって、肉が主食じゃないんです。金森式についてよく知らない人は「肉を食べるダイエットでしょ」っていうんだけど、それはまったく違う。
――ちなみに今日、金森さんはどんなものを食べられたのか、そのメニューを教えていただけますか?
金森:マローっていうものですね。
――マローとは?
金森: マローとは骨髄のことです。今日は牛の骨を食べました。ヨーロッパだとオーソブッコという料理で使われていますが、骨自体は硬いので食べずに、中の骨髄だけをスプーンですくって食べます。これはまさに命のエキスで、猛烈にミネラルが入っているから少量でもウッとなります。
ヒトってこれで足りるんだって驚くくらいの、激烈な満腹感があります。糖によって味付けがされた偽物の食事と、本物の食事でどれだけ満足感が違うか。これだけで1日は腹持ちしますね。
▲牛の骨。骨の内側に入っている部分がマロー(骨髄)
――そんなにですか……お味はどうなんですか?
金森:今日の味付けはコハク酸(※)をつけて食べました。現代の人々の視床下部って、うま味調味料の成分であるグルタミン酸ナトリウムや、酵母エキスや、タンパク加水分解物だとか、脳の摂食中枢を侵すようなものに壊されているんですよね。これはいわば「嘘の旨味」です。けれども、マローはまさに「生身の旨味」です。
(※)コハク酸:貝類、未熟な果実、発酵製品の中に含まれる旨味成分物質のひとつ。酸味、苦味が混ざったような強い味で、がん予防、肌荒れ予防の改善、脂肪燃焼の促進などの効果があるとされる
――それは食べてみたいです。どちらで手に入るのでしょうか。
金森:僕は日進ワールドデリカってスーパーで手に入れることが多いですけど、ネット通販だったら、ホライズンファームっていうサイトの通販が全国どこからでも利用できて、比較的リーズナブルです。1キロ2,600円ぐらい。ボーンブロス食事法とかも流行っていますけど、1週間だけでもいいから、ガラッと体調が変わってきますから、ぜひ骨髄を食べてみてください。
※第2回:体を「最適化」せよ──サプリの摂取+溜まった毒素の排出が健康長寿にいい理由【金森式】……に続く
※文中で紹介している食事法・健康法については金森重樹氏が論文や学術書、個人の実体験から得た見解です。健康のために食生活・生活習慣を変える際には、医師に相談したうえで行ってください。また、本記事で紹介している情報によって生じたいかなる損失、負傷、障害について著者及び本メディア運営者はいかなる責任も負いかねます。