「なんだか疲れがとれない……」しつこい疲労には“関元”のツボに「自家製ぬか灸」を置くべし
2020年07月28日いつの間にか溜まっているのが「疲労」
こんにちは。ライターのくちやまだです。
蒸し暑いのに、雨が多くてなんだかすっきりしない天候が続いていますね。リモートワーカーへのセルフケアを何度か取り上げてきましたが、みなさんのご体調はいかがでしょうか?
「なんだかんだで、リモートワークにもだいぶん慣れてきたなあ」
在宅勤務もすっかり定着したという人は、そんな頃かもしれせん。
でも、油断は大敵。本格的にリモートワークに移行した人でも、これまでずっと行ってきた通勤の習慣がなくなって、まだ数カ月です。
身体が無意識下で、環境の変化に負担を感じていたとしても、おかしくはありません。そしてそんなときこそ、心身全体にアプローチして症状が出る前に予防する、東洋医学の出番です。
前回は夏風邪に備えて、風邪予防のためのツボをご紹介しました。
続いて、疲労へのセルフケアについて解説したいと思います。京都でお灸専門の治療院「お灸堂」を開業している、鋤柄誉啓先生(お灸堂院長)に今回も聞いてきました。
愛知県出身。はり師、きゅう師(国家資格)。明治鍼灸大学(現明治国際医療大学)の鍼灸学部を卒業後、鍼灸師として京都で活動。大学卒業後京都の鍼灸整骨院、鍼灸治療院を経て独立。2016年6月に関西発のお灸専門サロン「新町お灸堂」を開院。お灸で「冷え」「疲労」「痛み」「体質改善」に取り組んでいる。
Twitter:@sinmachi_okyudo
――なんだかカラダが疲れてすっきりしない……そんな疲労に悩む患者さんも、治療院にはいらっしゃいますか?
鋤柄先生:疲労を訴えられる方は多くいらっしゃいますよ。「身体が重い」「腰がだるい」「寝ても疲れが取れない」などなど、お悩みはさまざまです。蒸し暑くなってくるこの季節には、知らないうちにクーラーで身体が冷えたりもしますから、溜まっている疲労がどこかでどっと出てきても、おかしくはありません。
東洋医学では「腎」が弱ると疲労につながる
――東洋医学では、「疲労」についてはどのように考えているのですか?
鋤柄先生:東洋医学では疲労は「腎(じん)」と深く関係します。睡眠不足やハードワーク、そして加齢が、腎が弱る典型的な原因ですね。自粛からのリスタートで、みんな予定外の動きが増えてきていますよね。手続きをいろいろとしなくてはいけないという方もいらっしゃるでしょう。さきほど説明した季節的な要因以外にも、疲労が溜まりやすい環境が整っています。
――そしてまた再び自粛生活となる可能性もあります。精神的にも気持ちがふさぎがちになりそうです。
鋤柄先生:腎は怖さや不安な気持ちとも関連します。昨今のように先の見えない不安を長らく感じていると、腎が弱ります。また腎が弱るとより不安を感じるようになります。呼吸が浅くなったり、ちょっとした物音に敏感になったりするようになります。
「ぬか灸」でお腹を温めるのが夏の養生生活
――そんな疲労が溜まりやすい今、どんなセルフケアがおススメでしょうか。教えて下さい。
鋤柄先生:弱ってしまった腎を助けてあげる方法としては、へその下の「関元」(かんげん)というツボを温めます。関元はおへその下から指4本分くらい下がったあたりにとります。自分でも取りやすいツボなので、セルフケアを行いやすいですよ。
――このお腹のツボに、お灸をするのがよいのですね。
鋤柄先生:お灸ももちろんよいのですが、市販のレンジで温めるグッズを使ったりしてもよいでしょう。おなかを温めるのに、便利なのが「ぬか灸」です。材料も比較的入手しやすいですし、作り方もカンタンです。
ぬか灸の使い方
①レンジ(500W)で1分温めます。
②冷え、こりを感じるところに置きます。
③10分〜15分温かさが続きます。おへその下の関元に置きましょう。
――これなら材料さえあれば、すぐにできますね。注意点はありますか。
鋤柄先生:温めすぎると焦げてしまうので、注意しましょう。あとは、低温火傷にも気をつけること。地肌に直接置くことは避けましょう。あと、カビやすいので、保存するときは、風通しの良いところに置くようにしてくださいね。ちょっとした日々の養生も積み重ねると、体調に大きなプラスをもたらします。ぜひ続けてみてください。
・・・
疲労がなくすっきりしている――。もう何年もそんな状態を味わっていないという人も少なくないでしょう。
かくいう僕も、疲労は大なり小なりいつも抱えているような気がしています。
ぬか灸をコンディション作りに取り入れながら、一からの体調作りを、少しずつ一緒に始めていきましょう!
【取材協力】
お灸堂
住所:京都府京都市下京区平野町787-1
TEL:075-203-7601