「カラダの歪み」が不調の原因に──全身の左右バランスを調整する“3つのストレッチ”とは
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「カラダの歪み」が不調の原因に──全身の左右バランスを調整する“3つのストレッチ”とは

2020年07月14日

カラダの歪みや不調を整えるストレッチ方法がある

数ヵ月間履いている靴の底が、片方だけすり減っている……そんな経験は皆さんにないでしょうか。

カラダの歪みは、心身にさまざまな影響を及ぼします。よく言われる肩こりや腰痛だけでなく、頭が重い、イライラする、よく眠れない…などのような「不定愁訴」と呼ばれる症状の原因にもなるのです。

 

カラダチャンネルでは、千葉県松戸市「常盤平整骨院」院長・市澤佑樹先生に、カラダの歪みを整えるストレッチ方法をこれまで3つ教わりました。

 

・セルフコッヘル法

 

 

・ジャックナイフ

 

 

・半跏趺坐

 

 

市澤先生は、柔道整復師・鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師の4つの国家資格を取得し、全身のバランス調整を得意としているカラダのプロフェッショナル。

さらに今回は、市澤先生がカラダについて深く勉強し、整骨院を開業されたきっかけ、そして「カラダの歪み」にストレッチが効果的な理由について、お話をうかがいました。

 

 

「カラダのバランスの崩れ」が痛みや怪我の原因に?

——市澤先生は全身のバランスを調整する治療を行っているそうですね。

 

市澤佑樹先生(以下・敬称略):私は、痛みや怪我の主な原因は「カラダのバランスの崩れ」だと思っています。当院では全身のバランスを調整する治療をし、カラダの不調を解消するお手伝いをしています。また、交通事故による後遺症などの対応もしていますよ。地域の方の健康に役立ちたいと思っているんです。

 

 

——市澤先生ご自身も、カラダの不調に悩んだ経験があるのでしょうか?

 

市澤:はい。私は高校生のときに陸上部の長距離と駅伝部に所属していました。当時は毎日30kmほど走っていたため、よく膝の怪我をしていました。そこからいろいろな整体院などに通いましたが、症状は改善しませんでした。諦めかけていたある日、知人に紹介された整骨院に行き、そこで初めて膝の痛みが消えたのです。このことがきっかけで整骨院の仕事に興味を持ちました。

 

 

 

——ご自身の怪我、そして整骨院の治療で症状が改善したことがきっかけとなり、今の整骨院を開業されるまでに至ったのですね。

 

市澤:大学卒業後、柔道整復師・鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師の専門学校に通いました。4つの国家資格を取得し、別の整骨院で実務経験を積み、地元の千葉県松戸市常盤平に開業したのです。それから多くの患者さんが当院でカラダの相談に来てくださっています。カラダのバランスが整い「以前よりもカラダが楽になった」と言ってもらえることが嬉しいですね。

 

 

 

なぜカラダが歪んでしまうのか

——「カラダの歪み」とは、具体的にどういった状態を指すのでしょうか?

 

市澤:カラダの歪みとは、筋肉が縮み、カラダ(筋肉・骨)の左右前後のバランスが崩れている状態のことです。長時間のデスクワークで同じ姿勢が続いたり、足を組む癖などによって、筋肉は必要以上に縮んでしまいます。そのまま筋肉を伸ばさないでいると、全身の左右のバランスが崩れ、カラダが歪んでいくのです。

 

 

——カラダの歪みは、不定愁訴の原因にもなるのでしょうか?

 

市澤:不定愁訴の原因はさまざまですが、カラダの歪みは不定愁訴と関係があります。カラダが歪むと呼吸は浅くなりがちになり、自律神経が乱れ、内臓の働きも低下します。例えば、呼吸が浅くなると脳に酸素が行きわたりにくくなります。これが進行すると脳は酸欠状態になり、頭痛の症状として現れることもあるのです。
また、自律神経の乱れもあらゆるカラダの不調を引き起こします。睡眠が浅くなったり、わけもなくイライラしたり……。とくに胃腸は自律神経の影響を大きく受けるので、便秘などの症状も現れやすくなりますね。

 

——カラダの歪みは、内臓などの健康状態にも影響するということですね。

 

市澤また、歪みは怪我の原因にもなりやすいですね。カラダにとって「歪み」は異常な状態であり、負担がかかっています。つまり筋肉にも無理が生じているので、歪みを放置したままカラダを使い続けることにより、必然的に怪我のリスクが上がります。
怪我を防ぐためには、筋肉が緩んでいる状態でカラダを動かすことがベストなんですよ。
仮に怪我をしたとしても、筋肉が緩んでいれば損傷度は低くなることがあります。首の寝違え痛である「頚部捻挫」やぎっくり腰と呼ばれる「腰部捻挫」の可能性も減ります。

 

——逆に、カラダが歪んでいない「正常なカラダ」とはどういった状態ですか?

 

市澤:立位の状態で後ろから押した場合、カラダが歪んでいなければ足は前に出ません。ふらつくこともなく、その場で踏ん張れるはずです。また、正常なカラダは筋肉を押されても緩んでいるため、痛みの刺激が弱いです。日常生活ではさまざま姿勢をとりますが、どのような姿勢でもカラダにうまく力が入ります。
このような「正常なカラダ」は不調も少なく怪我のリスクも低いんですね。もちろん姿勢も綺麗でいられるため、外見的にも素敵な印象になります。

 

 

自分のカラダは歪んでいる?

 

——カラダの歪みによるデメリットは理解できました。しかし、自分のカラダが実際に歪んでいるのかどうか、わからない人も多いと思うのですが……。

 

市澤:例えば数ヵ月間履いている靴の底が、一部だけ、ないしは片方だけ減っている場合、カラダが歪んでいる可能性があります。カラダの歪みにより、立位時のカラダの左右前後の重心が変化するからです。もちろん人それぞれ重心が異なりますし、もともとの姿勢や歩き方の癖も考えられますので、あくまでもひとつの判断材料にしてみてください。
たとえば上半身なら猫背や巻き型、片側の肩だけ下がっている……という場合。正常なカラダでは、こういったアンバランスなカラダの症状は現れにくいです。

 

——自分でカラダの歪みをチェックする方法があれば、教えていただきたいです。

 

市澤:立った状態で、太腿の内側や大胸筋の筋肉を押してみてください。カラダが歪んでいる人は、この部分にかなりの痛みを感じるはずです。施術やストレッチなどでカラダを整えると、痛みは軽減します。

 

 

——なるほど。ちなみに、カラダが歪みやすい生活習慣はありますか?

 

市澤:筋肉が縮む姿勢でいる時間が多いと、どうしてもカラダは歪みやすいです。例えば長時間のデスクワーク、足を組む癖などでしょうか。しかしこういった生活習慣の中でも、筋肉を伸ばすことを意識することによって、歪みの対策はできます。人それぞれカラダの動かし方の癖はあるので、自分でケアすることが大切です。

 

 

ストレッチで筋肉を伸ばし、関節の位置を整える

 

——それでは、具体的にカラダの歪みを対策する方法についてお聞きしたいです。

 

市澤:歪みの原因である「筋肉の縮み」を伸ばしてあげることが大切です。基本的に筋肉は縮む性質しか持っていないので、意識的に伸ばす必要があります。そのまま筋肉の縮みを放置すると、カラダ(筋肉・骨)の左右のバランスが崩れてしまいます。そこで筋肉を伸ばす「ストレッチ」が大切になってくるのです。
ストレッチで筋肉を伸ばし、同時に固まっている箇所の動きを良くして、関節の位置を整えましょう。そうすることでカラダの歪みが整い、さまざまな不定愁訴の改善にも役立つはずです。

 

 

——カラダの歪みに筋肉の縮みが関わっていたとは、驚きました。

 

市澤:ストレッチは筋肉を伸ばすだけでなく、自律神経を整える効果もあります。疲れた時こそカラダを伸ばし、心身ともにリフレッシュすることを心がけると良いでしょう。

 

 

——ストレッチを行う際の注意点はありますか?

 

市澤:ストレッチは無理をしないで行うことがなによりも大切です。カラダの力は抜き、呼吸をしながらリラックスします。勢いをつけて動かすとカラダを痛める可能性があるので、ゆっくりと行いましょう。左右同じ動きをするストレッチの場合は、カラダが楽な方から行ってください。

 

 

日々のストレッチを習慣化して全身の左右バランスを取り戻す

 

——ストレッチで筋肉を伸ばし、全身の調子を整えられることがわかりました。

 

市澤:カラダの歪みや不調が気になる場合は、プロに診てもらうのも一つの選択肢です。生活習慣や食事の内容などについても、具体的なアドバイスをもらうことができます。しかし、整骨院や病院に行く時間が取れない方は、日常にストレッチを習慣的に取り入れることがおすすめです。

 

 

——最後に、読者の皆さんに一言お願いします。

 

市澤:カラダの不調や痛みの原因はさまざまです。長時間同じ姿勢で居続けるデスクワークのような作業は「カラダの歪み」を引き起こしやすいです。そしてそれはストレッチをすることによってグッとスッキリするはずです。全身の左右のバランスが整い、姿勢が美しくなり、体調も改善されたら嬉しいですよね。ぜひご紹介した3つのストレッチをスキマ時間に行ってみてください。

 

 

・セルフコッヘル法

 

・ジャックナイフ

 

・半跏趺坐

 

今回はカラダの歪みと不定愁訴の関係、そしてその対策について、市澤先生に詳しく教えていただきました。

歪みのない「通常のカラダ」であれば、心身ともに楽に過ごせるのです。

今日からストレッチを習慣化し、健康的なカラダを目指しましょう。

 

取材協力

 市澤佑樹(いちざわ・ゆうき)

「常盤平整骨院」院長。千葉県松戸市に常盤平整骨院を開業。柔道整復師、鍼師、灸師、按摩マッサージ指圧師の4つの国家資格を取得。地域に密着した治療院として、全身のバランスを調整する治療を行っている。

 

【参考記事】

・不定愁訴 | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー] 

・ストレッチングの実際 | e-ヘルスネット(厚生労働省)