“hara hachi bu(腹八分)”が大事。「沖縄ダイエット」の知名度が欧米でじわじわ上がっている理由
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“hara hachi bu(腹八分)”が大事。「沖縄ダイエット」の知名度が欧米でじわじわ上がっている理由

2020年10月16日

肉、魚、卵などが中心の、旧石器時代の食生活を再現した「パレオダイエット」、フルーツや野菜、豆類、ナッツ、全粒穀物などを主食にする「地中海式ダイエット」、糖質の摂取を制限する「糖質制限ダイエット」などなど、ダイエット界には次々と流行の波が訪れる。

そんななか、最近、欧米でじわじわ知名度が上がっているのが、「沖縄ダイエット(du régime Okinawa)」だ。

 

健康と長寿のためのダイエット法

 

沖縄ダイエットの謳い文句は、ズバリ、「健康で長生き」。

沖縄というと「長寿」のイメージがある。

平均84歳、100歳超えのメンバーもいる元気いっぱいのアイドルユニットKBG84(小浜島ばあちゃん合唱団)も、少し前に話題になったが、海外でも沖縄が長寿の地であることは有名で、「百寿者の島」、「不死の人の国」と呼ばれたりもしている。

 

しかしただ寿命が長いだけでなく、沖縄の長寿者の多くが健康を保ち、肥満も少ないというのは、食生活やライフスタイルに秘密があるからだと研究者たちが注目しているのだ。

 

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沖縄の食生活を世界に知らしめたのは、老年学研究の第一人者、鈴木信博士が彼の研究チームとともに2001年に発表した『THE OKINAWA PROGRAM』だ。

長年に渡って沖縄のセンテナリアン(百寿者)を調査している鈴木博士のこの著書はアメリカでベストセラーとなり、日本を含む世界各国で訳本が発行されている。

 

日本語版『オキナワ式食生活革命ー沖縄プログラム』の表紙を見ると、

 

  • 名物のゴーヤは、糖尿病やがんに効く
  • 沖縄の百寿者は、ジャスミン茶を毎日たくさん飲む
  • 料理に重宝なウコンは、がんや胆石、炎症などに効く万能薬
  • がんや心臓病を防ぐフラボノイドは、クズに驚くほど含まれている

 

と、そそるキャッチフレーズが書かれている。

どうやら沖縄の日常の食生活の中に、長寿や健康の秘訣がひそんでいるらしい。

 

 

ところが、かつては日本一、とりわけ女性は1975年ごろから約30年間全国トップをキープしていた(厚生労働省の資料より)沖縄県の平均寿命は、近年では後退している。

2019年9月に厚生労働省が発表した人口10万人あたりの100歳以上の高齢者数でも、全国で13位とズバ抜けて多いわけではない。

 

平均寿命が低下しているのは、沖縄にアメリカナイズされた生活スタイルが浸透したためで、現在は伝統的なライフスタイルを貫いている健康な高齢者と、他県同様、現代病に悩まされる若年層の二重構造ができあがっているという。

しかしだからこそ、沖縄古来の素晴らしい食生活にあらためて着目し、継承していくことが大切だと鈴木博士は説いている。

 

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沖縄の伝統的な食事が長寿のためにいい理由

 

琉球大学名誉教授で沖縄長寿科学研究センター長も務める博士のもとには、世界各国の学者や専門家が、沖縄の食事法を学びに訪れている。

「栄養治療学」を専門とするフランスのジャン・ポール・キュルティ医学博士もその一人で、彼は沖縄の食事法と健康維持の関係性を紹介する著作『OKINAWA』を発表している。

 

栄養士と料理家が沖縄の食事法をもとに考案したレシピ集『Le Régime OKINAWA』も、最近フランスのメディアでよく取り上げられている。

この本には“LES SECRETS DE LA LONGÉVITÉ”(長生きの秘訣)というサブタイトルがついていて、ご飯で作るサンドイッチ風おにぎりなど、フランス人が取り入れやすいようにアレンジしたレシピが紹介されている。

 

 

▲VOGUEの記事:5 préceptes à piquer au régime Okinawa pour vivre plus longtemps (et en meilleure santé) | Vogue Paris 

 

つい先日はファッション誌『vogue』のフランス版サイトでも、「健康で長生きするための5つの戒律」と題して、沖縄の食事法が紹介されていた。

 

また健康情報サイト『passeport santé』では、より細密に『沖縄ダイエット』を解説している。

こちらでは、「沖縄ダイエット」がなんたるかを、次の4つのポイントで説明している。

 

  • フルーツ、野菜が豊富で、良質な魚の脂肪分を摂取
  • 食事法だけでなく、暮らし方そのものである
  • とにかく大前提は満腹になるまで食べないこと
  • 健康、とりわけ長寿に役立つ

 

沖縄に行くと、ラフテーとかソーキそばとか、「まず豚肉料理」、というイメージがあったので、魚中心というのはやや意外だ。

 

また、『沖縄ダイエット』を「セミベジタリアン」と呼ぶ記事もあったが、基本的に肉食、ステーキの付け合わせはポテト、といった食事が一般的なフランス人にとっては、おひたしや和え物の小鉢が並ぶ日本の食卓は、ベジタリアン食に近い感覚なのだろう。

 

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実践編:「カロリー密度」に着目

また『passeport santé』では、さらに実践したい人に向けて具体的な方法を紹介している。

ここでベースとなるのは、100gあたりのカロリーを100で割った「カロリー密度」だ。

 

◉カロリー密度が0.7、つまり100gあたり70カロリー以下のものは制限なく食べていい

(葉物野菜、トマト、きゅうり、海藻類、赤い実の果物、豆乳、豆腐、低脂肪ヨーグルトなど)

 

◉カロリー密度が0.8 〜1.5のものはほどほどに

(バナナ、アボカド、じゃがいも、脂肪分の少ない魚、貝類、鶏肉、卵、米、麺類、寿司など)

 

◉カロリー密度が1.6〜3.0のものはときどき、少量だけ

(脂肪分の多い魚、シリアル、ホワイトミート、ドライフルーツ、ぶどうなどの甘味の強い果物など)

 

◉カロリー密度が3.0以上のものは極力食べない

(チーズ、ビスケット、ドーナツ、ハム類、油脂、バター、揚げ物、スイーツ、加工食品など)

 

0.7以下の食品をたくさん食べることは、カロリーを制限するだけでなく、おのずと水分や繊維質、タンパク質が豊富だから満腹感を得られやすい。

さらに、代謝による廃棄物が少ないので活性酸素等のフリーラジカルの過剰生成を抑え、病気や早期老化を防ぐ。つまり健康長寿の鍵となる、というわけだ。

 

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「沖縄ダイエット」の1日あたりの食事量の目安

 

沖縄ダイエットで摂っていい食べ物の1日の目安としては

 

  • 野菜類:7〜13ポーション
  • 全粒粉や豆類:7〜13ポーション
  • フルーツ:2〜4ポーション
  • カルシウムが豊富な食材(ブロッコリ、魚、ヨーグルト、チーズなど):2〜4ポーション
  • オメガ3が豊富な食材(魚介類、ナッツなど):1〜3ポーション
  • 植物性油脂や調味料:大さじ1〜2程度
  • お茶
  • コップ8杯の水

 

なのだという。さらにプラスして、1週間につき

 

  • 肉、鶏肉、卵:0〜7ポーション
  • 甘いもの:0〜3ポーション
  • アルコールは控えめにする

 

に、留意しておくといい。

 

大事な考え方は「hara hachi bu(腹八分)」

 

何を食べるかだけでなく、沖縄ダイエットでは「どう食べるか」も大事なポイントで、それが次の項目。

 

  • hara hachi bu(腹八分)
  • kuten gwa(くーてんぐぁ:沖縄弁で「少し」の意味。ちょこっと食べる)
  • ぬちぐすい(こちらも沖縄弁。体を癒し、エネルギーをあたえてくれる美味しい食べ物)
  • いろいろな種類の食材を食べる
  • 皿がカラフルになるよう色とりどりの食材を組み合わせる
  • フレッシュな食材を選ぶ
  • あまり加熱しすぎない
  • その食材にもっとも適した調理法を選ぶ
  • 生のものと調理したものを組み合わせる
  • 電子レンジでの調理は避ける

 

いろいろな種類のフレッシュな食材をとる、といったことは、沖縄ダイエットだけでなく、健康的な食生活に共通するものだが、あえて羅列するとルールのようにみえるこれらも、沖縄の人々は昔から自然にやっていたのだろう。

 

沖縄ダイエットのメリット

 

沖縄ダイエットを実行する上でのメリットとしては、

 

  • 繊維質とタンパク質がバランス良くとれる
  • 禁じられている食べモノはない
  • 長期間続けやすい
  • ソーシャルライフの邪魔をしない
  • 減量は目的ではないが、自然と付随する
  • 健康度がアップする

 

ダイエット中、一番困るのが、パーティーやお呼ばれの席。

その点沖縄ダイエットでは「○○は抜くこと」という食材はないし、量に気をつけて、別の日に調整すればOKだ。

 

とにかく「満腹」はNG

デメリットは、満腹になるまで食べられないこと。

海外の人にとっては、手に入らない食材があったり、文化そのものを理解する必要があることも挙げられている。

 

沖縄ダイエットは、「ダイエット」という名前こそついているけれど、減量法ではなく、健康的な食生活スタイル、食習慣だ。

コロナ禍をきっかけに、欧米でもフードロスや飽食を見直す動きが活発になってきているから、「GOMASIO」や「MACHA」がすでに通用しているように、そのうち「hara hachi bu」や 「kuten gwa」も共通語になるかもしれない。

 

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