糖質をゼロにして、脂をたっぷり摂る──噂の「断糖高脂質食ダイエット」の驚くべきメソッドとは【金森式】
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糖質をゼロにして、脂をたっぷり摂る──噂の「断糖高脂質食ダイエット」の驚くべきメソッドとは【金森式】

2020年09月04日

「断糖高脂質食ダイエット」で、なぜ痩せるのか

体脂肪を燃焼させる代謝のエネルギー源を糖質から脂質にシフトさせる「断糖高脂質食ダイエット」。

そのメソッドを紹介した話題のベストセラー『運動ゼロ 空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)の著者、金森重樹氏へのインタビューの第2回です。

 

▼前回の記事はこちら

 

インタビュー

金森重樹(かなもり・しげき)

1970年生まれ。東京大学法学部卒。大学卒業後、フリーター時代に1億円超の借金をつくる。不動産会社に就職後、29歳で行政書士として独立。現在は、不動産、建築、介護事業など年商100億円の企業グループオーナー。監訳した『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事 高脂質・低糖質食で、みるみる腹が凹む』(SBクリエイティブ)は話題となり、また新刊の『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)はamazonのベストセラー1位に。「金森式」と呼ばれる断糖高脂質食ダイエットの普及を通じて、多くのフォロワーから支持されている。

Twitter:金森重樹@ダイエットonlineサロン

 

――金森さんの断糖高脂質食ダイエットですが、具体的にはどういったものを食べるべき、もしくは食べてはいけないのでしょうか

 

金森重樹氏(以下・敬称略):基本は肉、魚、卵、それに牛脂といった脂。調味料は、魚醤、雪塩またはぬちまーす、ビタミンCの粉末。MCTオイル、出来ればグラスフェッドバター、あとは生クリームも積極的に摂ります。飲み物は、珈琲よりも紅茶。紅茶はゼラチンで固めて紅茶ゼリーにしてもいいですね。

 

――牛脂を積極的に摂るというのが、インパクトありますね。

 

金森:いわゆる「PFCバランス」ってありますよね。、健康を維持していくうえで、 主なエネルギー源となる3大栄養素のバランスのことですが、これの理想のバランスが、P(タンパク質):F(脂質):C(炭水化物)が、普通は2:2:6っていうじゃないですか。だけど、断糖高脂質食ダイエットでは、そのP:Fのバランス比を2:8にするんです。Pは必要タンパク質量で徐脂肪体重×1g、残りはF。

 

麦茶やコーヒーに入っている糖質すら避けるべき

 

――「C」の炭水化物はゼロにして、さらに脂質の割合が8ですか!?

 

金森:はい。だから普通の人は最初は断糖高脂質食メニューなんて食べられないですよ。こんなにお腹がいっぱいになって、きついダイエットはないってくらい、食えなくて泣きます。牛脂だけじゃなくて、MCTオイルも摂るし、バターなんて、アイスクリームみたいにカップで100グラムくらい食べますから。

 

――脂質中心でかなり極端な食生活になると思うのですが、味覚が変わったりとかって……。

 

金森:味覚はかなり変わります。なにを食べても美味く感じる。味覚があまりに鋭敏になって、糖の入っているものは、ものすごく甘く感じますね。麦茶なんか、甘くて飲めなくなりましたね。麦って糖じゃないですか。コーヒーだって、ブラックですら甘くて飲めないと感じるようになります。コーヒーは糖質が多く、実は紅茶の7倍の糖質があるので。

 

――ブラックコーヒーが甘い! それってどれくらいの期間で変化を感じましたか?

 

金森:味蕾(※みらい、舌や軟口蓋にある食べ物の味を感じる小さな器官のこと)は10日あると変わります。ただその間に糖を摂ったら、いつまでも変わらないですよ。糖質の依存性は強くて、データでいうとコカインよりも依存性や中毒性がきついんですよ。
ネズミを使った実験でも、コカインと砂糖だと、砂糖のほうがやめられないんです。ネズミに電気ショックを与えてもですよ。糖分を摂取した時に脳内で快楽物質が分泌される「シュガーハイ」があるので。



 

焼肉のタレにだって糖質が入ってる

――とはいえ、糖質が完全にNGとなると、美味しく食べられるものがだいぶ減ってきてしまうと思うのですが……。

 

金森:僕も焼肉をタレで食べていた時代は、軽く10人前くらいいってたんだけど、もう食べられないですね。あっ、塩ダレもダメです。タレの中には糖が入ってるので。サラダ油とかゴマ油に浸してあるのも、油がオメガ6なのでダメ。僕は焼肉屋では、シンプルに肉だけを切って出してもらってます。それで十分、美味しいと感じられるようになりますよ。

 

――それを塩だけで食べるのですか?

 

金森:魚醤(※ぎょしょう。ナンプラー、しょっつるのこと)で食べるんです。タンにはビタミンCであるL-アスコルビン酸のパウダーをかけて。朝食は、スクランブルエッグ2人前とオムレツ2人前、あとサバと鮭、それに魚醤をかけたアボカド。ほぼ毎日これです。今日の昼に食べたのは、シュラスコ屋で肉のみ。きのうの夜はポッサム(蒸し塩豚)。

 

野菜にだって手をつけない。調味料は持ち歩く

 

――外食でも意外と対応できるんですね。

 

金森:はい。ステーキハウスや鉄板焼きとか。このあいだ湯河原に行った時はフレンチのフルコースでしたけど、前菜は牛脂を焼いたもので、メインのオマール海老も糖分は一切加えず、お肉についている野菜は彩りのためのものなので一切手をつけないで、チーズと、紅茶で終わり。フレンチのフルコースであっても、やり方次第では断糖できる。

 

――野菜にすら手をつけない……。しかも徹底して糖分を摂らない(完全断糖)と。

 

金森糖質の入った調味料を一切摂取しないために、いつも魚醤や雪塩、L-アスコルビン酸パウダーを持ち歩いてます。これをやると本当に万病に効きます。年齢のいった女性の首のウイルス性イボもみんな取れる。免疫が活性化するから。体温も上がるし。

 

▲金森氏が外食時のためにいつも持ち歩いている調味料。左はビタミンCであるL-アスコルビン酸パウダー、右は海水の成分に近い「雪塩」

 

――断糖高脂質食に変えた後、うっかり糖を摂ってしまうと、なにかまずいことってあるんですか?

 

金森:糖っていうのは、ある意味で麻薬よりも強い依存性があるとも言えるわけで、それを絶ってからまた糖を入れたら、そりゃカラダには悪いですよ。細胞って膨張・収縮によって、脆くなるんですよ。
日常的に糖質を摂っているような悪い状態なら、悪い状態のまま維持すればいいけど、悪い状態を急に良くして、また急に悪くすると、よりカラダには良くないでしょうね。耐糖能が弱まっている状態、つまり毒に対する耐性がなくなっている状態から、もう一回毒を摂るとどうなるかっていうことです。

 

――カラダが断糖に順応した状態だと、糖質への耐性も弱まっていると。

 

金森:普通の人の腸内には、1.5~2キロの菌がいるんです。それをMCTオイルとかでカンジタなどを殺して、腸内環境を浄化して入れ替えてるのに、そこでまた糖を摂ったらそりゃよくない。だから糖質制限ダイエットで「1日50グラムまでは糖質を摂取してもいい」とかって言ってますけど、私からしたらそんなの論外ですよ。
断糖質高脂質食は、腸内の菌を変えるレベルでやるから、月に15キロも痩せられるんです。なぜなら、カラダ自体を全部つくり変えるから。

 

▲『運動ゼロ 空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』より引用

 

――カラダ自体を作り変える!

 

金森:そう、この食事法は生活全般のものですから。ダイエットというより、健康法と捉えてもらったほうが正しいです。

 

――ですが、断糖高脂質食だけで果たして本当に大丈夫なのでしょうか。これだけではフォローしきれない栄養素があるように思えるのですが……。

 

金森:断糖高脂質食に切り替えても、体重が落ちないってフォロワーさんがいたんです。どういうことなのかって突き詰めたら、「質的栄養失調」だということがわかってきて。せっかく糖質から脂質にエネルギー源を切り替えても、それがしっかり燃える仕組みがカラダの中に出来ていなければ、カラダに貯まっている脂肪が燃えないっていうことです。そのために、足りない栄養素をサプリメントで補っていく。

 

――なるほど、サプリメントで足りない栄養素を補うんですね。

 

金森:栄養素を食事からだけで摂取するのって、実は非現実的なんです。たとえば、非ヘム鉄をほうれん草で必要摂取量を摂るには、毎日バケツ4杯分ものほうれん草が必要です。
なぜかというと、非ヘム鉄の吸収率はヘム鉄と比較して著しく低い。植物性の非ヘム鉄の吸収率1~5%です。動物性のヘム鉄ならば、食物繊維などからの吸収阻害をうけにくく、吸収率10~20%ですが。サプリなら、ヘム鉄で1錠6〜15mg、キレート鉄で1錠27〜50mgほど摂れます。

 

 

――金森さんの言う断糖高脂質食ダイエットでは、具体的にどういったサプリを採ることが推奨されているんでしょうか。

 

金森:ビタミンB群やビタミンCなど、いろいろありますが、僕の場合、血液検査をした時に、他はすべて正常値だったんだけど、BUN(尿素窒素値)だけ低かったんです。長期間デブ生活をしていたから、ビタミンB6が欠乏してるなと思って、B6を摂り始めて、2ヵ月で正常な数値になりましたよ。
これだけ肉を食いまくってても、B6が欠乏してるとアミノ酸代謝が回らないの。

 

断糖しないと、いくらサプリを飲んでも意味がない

▲肥満体型だった頃の金森氏

 

――肥満になるような食生活を続けていて、質的な栄養失調になっていたと。

 

金森:だからアミノ酸代謝を回すことによって、タンパク質を体内に充足するためにビタミンB6を摂ったんです。つまり、でたらめにサプリを摂ったり、マルチビタミンで摂ってもなんの意味もない。自分のカラダに何が足りないか考えて、一個一個つぶしていかないとだめってこと。マルチビタミンは意味がないです。

 

――なるほど、自分の体に何が足りないかを考えることが重要なんですね。

 

金森:ただ、糖を完全に切らないかぎりはサプリメントがミトコンドリアの活性化に向かわないんです。糖による炎症に対応するために消費されちゃう。
タバコを吸っているとビタミンCが欠乏するのと同じ。タバコを吸うことで出来てしまう活性酸素が、ビタミンCを消費するから欠乏するんです。つまり断糖なくしては、いくらサプリメントを飲んでもまったく意味がない。

 

 

――逆にいうと、断糖すれば栄養素が正しくカラダに回る?

 

金森:体内に慢性炎症があると、それも妨げになります。炎症というのは、一般的にみんなが持ってる歯周病とか、痔とかのこと。それを片っ端からつぶしていく。そのために重要なのはオメガバランスを取ることで、オメガ6のバランスが普通は6:1とか、外食だと20:1とかあるのを、オメガ3の脂と1対1に抑えるんです。
いかにして炎症メディエーターのエイコサノイド(プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンなどの生理活性物質のこと)による炎症を食い止めるかっていうことで、オメガ6と同じ分量だけオメガ3を摂って拮抗させるんですよ。それによって炎症をつぶしていく。



「有酸素運動はよくありません」

――運動もしなくていいということですが……。個人的には運動はきちんとしたい方なのですが。

 

金森:食事改善で痩せるメソッドなので、特に運動する必要はありません。もしも運動をしたい場合、負荷運動は問題ないですが、有酸素運動はよくありません。有酸素運動っていうのは、かなり大量に酸素を取り込むので、そうすると体が酸化、つまり錆びるんです。たとえば鉄って酸素と結びついて錆びるわけじゃないですか。カラダにも同じことが当然、起きてますよ。マラソン選手って、老化が早くなってしまう人が多いでしょう。

 

――さすがに有酸素運動がカラダに良くないとは……これまで酸素が体に悪いなんて考えたことはなかったです。

 

金森:健康であるため、長寿であるための全体像ってもっと広大なんですよ。人類学のことを話し出すとものすごく長くなりますけど、そもそも人間の食性は何だったのかということ。今までも人類学者の島泰三さんなんかは、骨髄主食仮説(※)で、人間は本来は骨が主食だったと言ってたんだけど。

(※)骨髄主食仮説……農耕の始まる前のヒトの本来の主食は骨髄と脳だったとする学説

 

【参考記事】

Study finds prehistoric humans ate bone marrow like canned soup 400,000 years ago | Phys.org

 

――骨髄主食仮説?

 

金森:農耕が始まる前の人類は、何を食べていたのかという話です。肉を食べてたらライオンに襲われるし、人間が素手でライオンに向かって勝てるわけがないですから、肉ではないだろう。
では肉食獣の食べ残しの肉を食べていたのかというと、それも難しい。そんなことをしていたらハイエナに襲われてしまう。鉄器じゃなく、石器の時代にひ弱な人類がハイエナやハゲタカにかなうわけがない。だからヒトは骨と骨髄を主食にしていたんだろう、という仮説を立てたんですね。

 

 

――骨と骨髄が人類の主食ですか、にわかには信じがたい話ですが……。

 

金森:ところがイスラエルの洞窟で、人類が動物の骨髄を食ってたっていう証拠が出てきたもんだから大騒ぎですよ。骨髄って、常温で保存しても9週間保つんです。つまり骨自体が天然の缶詰なんですね。それを食べていたという証拠が発見されたんです。人の主食は骨だった。だから現代の人が便秘するのは当たり前で、それは野菜を食べるから。

 

【参考記事】

・Mystery of 2-million-year-old stone balls solved | Live Science

 

――えっ、野菜を食べると便秘になる? それは意外です。

 

金森:なぜって、草食動物のウシやヒツジと違って、人間の腸の長さは肉食動物並みの短さなんですよ。腸が短いのに食物繊維を摂っちゃうから、便秘になる。僕に言わせると、野菜は摂っちゃダメ。逆に現代人は骨を食べてないから、マグネシウムが足りない。ちなみに我々は完全肉食メニューに変えてから、誰も便秘していないですよ。マグネシウムを摂ってるから。だから僕は、野菜も食べません。

 

 

糖質は徹底的に排除する。積極的にたっぷりと脂質を摂る。野菜は食べる必要がない――。

「食事はバランスよく」を常識としてきた人からすると、かなり過激な考えに聞こえるのではないだろうか。

 

一方で、ネットで断糖高脂質食を実践する多くの人たちが具体的に「10キロ痩せた!」などの成果を出していることも事実。

また、断糖高脂質食に興味を持ったとしても、具体的にいったいどうやって、どんな料理を食べればいいのか、なかなか悩ましいところ。

金森重樹氏の著書「運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)には、牛脂を使った断糖高脂質レシピが数多く掲載されているので、気になった方はぜひチェックをどうぞ。

次回の最終回(第3回)に続きます。

 

▼第3回はこちら

 

・・・

 

【話題の本】

運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット

  • 作者: 金森重樹
  • 発行元:扶桑社
  • 発売日: 2020/7/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

※文中で紹介している食事法については金森重樹氏が論文や学術書、個人の実体験から得た見解です。健康のために食生活・生活習慣を変える際には、医師に相談したうえで行ってください。また、本記事で紹介している情報によって生じたいかなる損失、負傷、障害について著者及び本メディア運営者はいかなる責任も負いかねます。