「バランスのいい食生活」こそ肥満の原因に?糖質を摂らない方がいい理由を「ガチ速“脂”ダイエット」著者に聞いた【金森式】
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「バランスのいい食生活」こそ肥満の原因に?糖質を摂らない方がいい理由を「ガチ速“脂”ダイエット」著者に聞いた【金森式】

2020年09月10日

断糖高脂質食ダイエットは本当に革命的な食事法なのか

170センチ・90キロあった体重を、わずか2ヵ月で58キロまで減量することに成功した金森重樹氏。

断糖高脂質食によって、体脂肪を燃焼させる代謝のエネルギー源を、糖質から脂質にシフトさせる「脂ダイエット」メソッドは#金森式と呼ばれ、twitterでは12万超のフォロワーも存在します。

「ダイエット界に革命を起こした」とも言われる話題のダイエット本の著者へのインタビュー、最終回の第3回です。

 

▼第1回はこちら

 

▼第2回はこちら

 

インタビュー

金森重樹(かなもり・しげき)

1970年生まれ。東京大学法学部卒。大学卒業後、フリーター時代に1億円超の借金をつくる。不動産会社に就職後、29歳で行政書士として独立。現在は、不動産、建築、介護事業など年商100億円の企業グループオーナー。監訳した『アメリカの名医が教える内臓脂肪が落ちる究極の食事 高脂質・低糖質食で、みるみる腹が凹む』(SBクリエイティブ)は話題となり、また新刊の『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)はamazonのベストセラー1位に。「金森式」と呼ばれる断糖高脂質食ダイエットの普及を通じて、多くのフォロワーから支持されている。

Twitter:金森重樹@ダイエットonlineサロン

 

――第1回、第2回とお話を聞いて、すごく極端……というと語弊があると思うのですが、始めるのには、正直少しハードルの高いダイエットだと思いました。なんと言っても、ご飯やパスタなど、糖質の誘惑を一切断つという点に、心理的抵抗を感じる方も多いかと思います。また一方で、金森さんのツイッターアカウントには12万人超のフォロワーがいらっしゃるわけですが、皆さん、成果をあげていらっしゃるのでしょうか。

 

金森重樹氏(以下金森):僕の場合は2ヵ月で90kgから58kgまで激減しましたし、『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』担当編集者の40代男性は4ヵ月で17kg減。ライターの30代女性は6ヵ月で10kg減。ツイッターのフォロワーさんもみな、それぞれ結果を出しています。

 

 

――全員が10キロ以上減量って、だいぶすごいお話ですが、それくらい「断糖高脂質食ダイエット」は達成しやすいということでしょうか。

 

金森:断糖高脂質食ダイエットで、少し大変なのは、脂を大量に摂るのがしんどいってことです。っていうのも、何十年も米や糖質を食べちゃった人は、胃が糖化しちゃってるんですよ。それを治すためには、まず胃はタンパク質で修復しないといけないから、肉や卵、魚でタンパク質を補充するんです。

 

――タンパク質中心の食事にする。

 

金森:それで脂を摂れるくらいの体質になったら、脂質代謝はビタミンB2が必要なので、ビタミンB2のサプリメントを飲みまくりながら脂をこなせるカラダにつくりかえていくんです。その途中で糖を摂っちゃったら、ダメ。
脂肪酸をβ酸化でエネルギーにするには、「インスリンが出ない」ってことが前提なんですよ。インスリンは脂肪酸を分解してケトン体が出るのを邪魔するので。その観点からも、完全断糖をするのは当たり前なんです。そうじゃないと、僕らのカラダの中のミトコンドリアは体脂肪を分解して脂肪を燃焼させる方向には働かない。

 

――まずはインスリンが出ないような食生活にすると。

 

金森:これがちゃんと出来れば「蓄えている脂肪を分解してエネルギーに変える」ように体がシフトしていきます。このとき血液中に放出されるのが、「ケトン体」と呼ばれる物質です。
自分でケトンメーターでケトン体を計測してみるとわかるのですが、断糖している場合には9.95mmol/Lっていう上限いっぱいの数値なんです。でも、一回糖を摂ってしまったら、3日、人によっては1週間ほどケトン体が出ない状態になってしまう。

 

――糖質を避けて、ケトン体が出やすい体質にすることが大事なんですね。

 

金森:だから断糖の徹底もさることながら、脂を摂るっていうことと、サプリを完璧に揃えることが大事。必要なビタミン、ミネラルがひとつでも欠けたらTCA回路と電子伝達系での代謝が止まってしまい、中間代謝物でまた太っちゃう。

 

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糖質を完全に断つことで、運動性能も上がる

――糖質を摂らないことを徹底しながら、サプリで栄養素を補完するんですね。

 

金森:ともあれ、肥満はさまざまな疾病の原因です。肥満になることで、健康面でもあらゆる負の連鎖を呼びこみます。

 

▲『運動ゼロ 空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』より引用

 

――美容のためだけじゃなく、肥満を解消し、健康になるためにもダイエットは必要ですよね。ただ、厳密すぎる断糖はかなりキツイと感じる人が多い気もします。「ゆる糖質制限」というか、ゆるくやる方法っていうのはないのでしょうか。

 

金森:残念ながら、ないですね。糖質を少しでも摂れば、糖新生が働いてカラダの筋肉のアミノ酸が分解されて使われるので、筋肉量が減少するからです。なので、家庭でパートナーがそれをやらない場合にどうするか、子供にどうするかっていう問題はあります。子供は給食があるから、どうしても糖質を取らざるを得ないですし。

 

――給食には糖質は必ずありますよね。糖質もバランスよく適量を摂った方がカラダの調子は上がるのでは?

 

金森:スポーツの世界でもテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチが完全にグルテンを切ったことで、運動性能が上がって、世界ランキングにいったじゃないですか。
たとえば小麦って、そもそも自然なものじゃないんです。小麦自体がすでに遺伝子操作をかけてるもので、本当の小麦の原種でもないのです。

 

 

――それはそうなのかもしれないのですが、どうしても「バランスのよい食生活」という固定概念が抜けなくて……。

 

金森:ほとんどの日本人の歯並びが悪いのも、歯周病になるのも、農耕のせい。農耕が始まる前の時代のヒトの骨格を見ると、親知らずまで直立して完全な形で残っています。そういうと「でも、昔の人のほうが寿命が短いじゃないか」っていう人がいますが、それはぜんぜん違うんです。

 

▲引用図表:LIFE HISTORY PARAMETERS OF HUMAN HUNTER-GATHERERS AND CHIMPANZEES

 

金森:いまは抗生物質によって寿命が大幅に伸びただけで、乳児の5歳までの死亡率が非常に高くこれを現代の幼児死亡率に揃えると20〜30%グラフは上方に移動して3割以上が70歳まで生きます。
昔のヒトも一定数は80歳くらいまで生きてました。しかも健康に。今の日本人は80歳まで生きるけど、人生の最後は健康に過ごせなくて病院でなくなる人も多いです。

 

糖質を摂っていないからシミもできない

 

――ダイエットのためだけじゃなく、健康のことを考えても、断糖高脂質食のほうが断然いいと。

 

金森:そう、今の人間って汚れきってるんですよ。人類学者ヴァイパー・クリガン=リードは、椅子に座ること、靴を履くことはギブスを装着することに似て、体を固定することによってヒトのカラダに異変がでるって言ってますけど、要は「負荷がかかり過ぎてる」んです。
椅子に座っているという姿勢自体が、そもそもサバンナに人類がいた時代にはないものです。椅子って昔は玉座だけだったから、一般の人が座りだしたのって、たぶん産業革命の進展した18世紀から19世紀以降のこと。

 

――「座る」こともカラダに負担をかけている……。

 

金森:靴の影響もありますね。たとえばギブスをずっとはめてたら、その部分の関節は動かなくなるじゃないですか。そうして可動域をつぶしてる可能性がある。

 

――本来の人間の姿を考えた方がいいということですね。

 

金森:あとは、日光。屋内のガラス越しだと、たとえ日向でもビタミンDの生成ができなかったりもするんですよ。あくまで直射日光じゃないとダメ。陽が当たってるからビタミンDが生成されるかといったら、されないんですよ。

 

――日光といえば、先ほどからもうひとつ気になっていることがあって、金森さんって年齢のわりにお肌がすごく色白で、しかもつるつるですが、これも断糖高脂質食の効果なのでしょうか。

 

金森:メイラード反応がないからですね。メイラード反応っていうのは、糖とアミノ化合物を加熱したときなどに見られる、褐色物質を生み出す反応のこと。基本的に糖質を摂っていないから、シミとか肝斑とかができないんです。

 

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「野菜はカラダに悪い」

金森:あとは野菜を食べないから、というのもありますね。糖毒もないし、植物毒もない。痩せてて、アルコールも飲まないけど、脂肪肝になる人、あれは野菜のせいです。

 

――野菜のせいで脂肪肝に……?

 

金森:野菜ばかりを摂ってると、野菜の糖で体内で体脂肪が作られます。体脂肪は、分解されて血液中を運ばれるときにアルブミンっていうタンパク質と結合して運搬されますが、このアルブミン自体が足りないから、脂肪肝になってしまうんですよ。
本来、人類は塊茎といって、飢餓の時でも根っこを食べているだけだったんですよ。野菜なんて石器時代のサバンナになかった。人類が始まって石器時代から農耕が始まるまでの400万年くらいの間は、そんなものを食べることはなかった。

 

 

――「野菜はカラダに悪い」なんて言ったら、多くの人たちからだいぶ反感を買いそうですが……。

 

金森:僕は本当に野菜はカラダに悪いって思ってます。うちのフォロワーさんでも断糖高脂質食を始めてから「リュウマチが治った」とか、「アトピーが治った」とか「へバーデン結節が治った」とかって言ってますが、自己免疫疾患については植物毒の影響を受けていた可能性があります。

 

――にわかには受け入れがたい話です……。

 

金森:っていうのも、クララ・デービスのカフェテリア実験っていうのがあるんです。離乳食期の子どもに、なんでも好きものを取って選んでいいっていう状態で実験したら、子どもたちが選んだものはフルーツでもお菓子でもなくて、脳と骨髄を選んだ。
っていうことは、それが本来のヒトが食べたいものなんですよ。マサイ族が一番好きなのはレバーだし、子供の離乳食で一番食いつきがいいのは、脳なんです。子供は本能的に野菜を避けています。

 

 

――人類が肉を美味しいと感じるのは同意します(笑)。

 

金森:要は、脂です。それがアジアの稲作メインという特殊な状況のなかで、子供に無理やり粥の離乳食を食べさせるから、食いたくなくて放り投げるわけです。野菜なんて大嫌いだから。

 

―ー金森さんは、ずっと野菜はもう、一切食べてないんですか?

 

金森:食べてないですよ。そうするとお肌のメイラード反応がおさまってくる。45日で表皮のしみは取れます。ただ真皮は半減期が15年です。それに、太っている人が、何十キロも痩せようとしているときに糖を一回でも入れてしまうと、皮が戻らずに腹がベロンってなるんです。入れた人はベロンですよ。30年かかるんですから。真皮のターンオーバーには。

 

【参考記事】

・Effect of Collagen Turnover on the Accumulation of Advanced Glycation End Products: American Society for Biochemistry and Molecular Biology

 

――急激に痩せたとしても、糖を入れなければ皮がだるだるにならないんですか?

 

金森:ないです。フォロワーのKUROさんって女性の方は、1年3ヵ月で28キロの減量に成功したんですけど、くびれができてピシッとなりましたよ。僕もずっと着ていたMサイズの服がブカブカです。
しかも、断糖による減量は副産物。血液検査の結果もオールクリアになるし、アトピーが改善した、花粉症が軽くなった、PMSが軽くなった、あとリュウマチとか、いろいろな疾患が改善したとの報告が毎日Twitterにあがっています。人人間を旧石器時代のサバンナの状態にもう一度リセットするのが、このやり方なんですよ。

 

 

――こうして事例を並べられると、本当にいいことづくめの食事法のように思えますが、リバウンドや体調不良は一切ないですか?

 

金森:僕は断糖高脂質食に変えてもう3年になりますが、リバウンドはゼロですよ。あとは、この食事スタイルにしてから、下半身の機能も元気になったんです。他にも、MCTオイルの摂取で腸内のカンジダ菌がなくなったという報告や、水虫がなくなったという報告もTwitterにあがっています。免疫が上がって、血流もめちゃくちゃ改善するから。

 

断糖することで、仕事の効率もあがる

 

――たしかに糖質の摂りすぎは男性機能を弱めてしまいそうな気がしますね。あくまでもイメージですが。

 

金森:断糖することで、仕事の効率だってあがります。昼もまったく眠くならないし。朝からぶっ通しで夜までやっても疲れない。効率があがるので、昼以降は仕事する時間が余ると担当編集者も言ってました。

 

――しかし、そう言われても、やっぱり半信半疑といいますか、断糖高脂質ダイエットには否定派の方も多くいらっしゃると思うのですが、金森さんの説に対する否定派の意見っていうのは、どういったものが多いですか?

 

金森:ほとんど否定ですよ(笑)。糖質制限に反対する人はもちろん否定するし、筋トレ派の人も糖を摂らないと筋肉がつかないって否定するし、糖質制限賛成派も高脂質摂取は太るって否定するし、MEC食(肉・卵・チーズをを中心に摂取する食事法)の人たちも脂質はダメだ、肉と卵だけを食ってれば痩せるって否定する。
でも、私の考えはインスリン制御、ミトコンドリア活性化、炎症抑制、I Fなど長寿に関連する項目を最適化したものなのです。

 

 

ダイエットの常識を覆したと多くのフォロワーから絶賛される断糖高脂質ダイエット。

にわかには信じがたいかもしれないが、肥満に悩んでいた沢山の方に結果が出ているのもまた事実。

 

ちなみにこのインタビューに立ち会って金森氏の話に触発された『カラダチャンネル』編集担当のM氏は、この取材の翌日から断糖高脂質ダイエットを始め、その後の3週間で82kg→75kgまで体重を落とし、今も継続中とのこと。

 

さらに詳しく知りたい方は、『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット』(扶桑社)をご一読ください。

 

・・・

 

【話題の本】

運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速“脂”ダイエット

  • 作者: 金森重樹
  • 発行元:扶桑社
  • 発売日: 2020/7/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

※文中で紹介している食事法については金森重樹氏が論文や学術書、個人の実体験から得た見解です。健康のために食生活・生活習慣を変える際には、医師に相談したうえで行ってください。また、本記事で紹介している情報によって生じたいかなる損失、負傷、障害について著者及び本メディア運営者はいかなる責任も負いかねます。

 

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