【16時間断食・ファスティング】気まぐれに「断食」するのが効果的⁉︎『気まぐれ断食』著者の栄養士に聞いてみた
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【16時間断食・ファスティング】気まぐれに「断食」するのが効果的⁉︎『気まぐれ断食』著者の栄養士に聞いてみた

2022年06月29日

最近はプチ断食やファスティング、16時間断食などが健康法として注目を集めるようになってきました。

そもそも1日のうち16時間断食することには、どんな効果があるのでしょうか。

  • そもそも断食ってどんなメリットがあるの?
  • 断食ってどんなやり方がオススメなの?
  • 断食って、やっぱりお腹は空くの?

そんな疑問を、『気まぐれ断食』(SBクリエイティブ)の著者で、カラダチャンネルでもライターとして記事を寄稿してくれている「パーソナル栄養士いっしー」こと栄養士の石川威弘さんにぶつけてみました。

インタビュー

石川 威弘(いしかわ たけひろ)

1991年生まれ。東京農業大学栄養科学科卒。大学卒業後タニタ食堂五反田店に勤務。現在はパーソナル栄養士という肩書きで個人の方へダイエットを指導している。ひとりひとりの身体の悩みに対してファスティング(断食)と食事指導を行い、ダイエットを始め、冷え性・便秘の改善、血糖値・コレステロール値の改善、妊活・体質改善を中心にサポートをしている。世界一周旅行の経験あり。日本だけでなく世界各国の食文化を見て食べて学ぶことが好き。

ブログ:パーソナル栄養士 石川威弘のブログ

 

断食は気まぐれに行うもの。『気まぐれ断食』の著者、石川威弘氏にインタビュー

 

――まずは出版おめでとうございます。

 

石川:ありがとうございます。

 

――今回の出版はどのような経緯だったんですか?

 

石川:今回の出版はご縁というか、出版社の編集の方が僕のブログを読んでくれて、相談に来てくれたんですよね。断食の本を作りたいって。

 

――編集者から声がかかったんですね。

 

石川:そうなんです。世の中の断食本は医師や治療家の書いた本が多く、女性からすると、とっつきづらいため、もっと初心者でも気軽に断食に取り組んでもらえるような断食本を作りたい、というご相談でした。僕もそのとおりだなと思って、アドバイスや相談にのって、一緒に本の企画を作っていきました。

 

――なるほど。たしかに断食って少し難しそうなイメージありますもんね。

 

石川:そういうイメージを変えたいよね。って編集者さんと話をしていて、もっと気軽にもっと手軽に断食を取り組んでもらえるような本を作りました。そんなコンセプトなので断食のやり方はもちろんのこと、断食を途中で中断してもOK、中断する方法はこうやって。といった断食のやめ方も紹介しています。世の中の断食本の中ではかなり珍しい内容かと。

 

――そうですね。中断する方法ややめ方が書かれている本は珍しいかもしれませんね。

 

「断食の効果」「断食のメリット」とはどんなもの?

 

――そもそも断食すると、どんなメリットがあるのでしょうか?

 

石川:やはり痩せるというのが一番のメリットだと思います。ダイエットで取り組まれている方が非常に多いですからね。でも、本当はダイエット以外にもたくさんの効果があって、僕個人としてはそっちの効果の方が魅力的だなって感じています。

 

――ダイエット以外の効果にはどのようなものがあるんですか?

 

石川:デトックス効果だったり、アンチエイジング効果と呼ばれるものですね。3日間の断食をすると、すごくスッキリして、体の中も若返るんですよ。

 

――アンチエイジングと聞くと、女性は気になりますよね。

 

石川:そうですよね。僕が担当したお客様のなかには断食後に肌の艶が良くなったとか、肌のトーンが上がったなんてお声をいただくことがあります。もちろんダイエット効果もあるので女性からはすごく喜んでもらえます。

 

 

――なるほど。私も少し気になりますね。いっしーさんご自身が初めて断食をやった時はどうだったんですか?

 

石川:僕が初めてやった時は「3日間断食」をしたのですが、当時20代前半で体も元気だったこともあって、そこまで大きな効果を感じなかったんです。でも、2回目の断食で5日間断食をやったのですが、それはすごかったです。

 

――5日間断食というと5日間食べないってことですよね? その時は何がどうすごかったんですか?

 

石川:5日間酵素ドリンクだけで過ごしました。その時の断食は2回目だったので体が慣れてきていたせいか、5日間はなんなく過ごせました。とにかくすごかったのが体のスッキリ感です。少し汚い話ですが、断食中の便通って、その時の体調によって出たり出なかったりするんですね。断食中に出ない時は一切出ないんです。それでも断食を終えて食事を取り始めると出るようになります。

 

――便通で判断するんですね。

 

石川:出る時は水様便がどんどん出るんです。1回目のファスティングでは出なかったんですが、2回目のファスティングで水様便がすごい出て、ものすごいスッキリしたんですよ。一般的には宿便が出たと言っていますが、腸の中が空っぽになった感覚というか、腸の中を隅々まで水洗いしたような感じです。とにかくスッキリして体が軽くなったんですよね。そうすると断食後も体調が良く、すごくスッキリ過ごせました。

 

――なるほど。宿便が出ると。

 

石川:学術的には宿便っていう概念はないみたいなんですけどね。お客様にわかりやすく伝えるために「宿便が出た」ってお伝えしています。

 

16時間断食中に「酵素ドリンク」を飲んだ方が良い理由

 

――断食にはいろいろなやり方があると聞きますが、いっしーさんの断食はどんな断食法なんですか?

 

石川:僕の断食法はミネラルファスティングというものです。一般的に知られている「酵素ドリンク」を飲みながら行う断食ですね。世の中には、水だけ断食とかおかゆを食べながら行う断食やサプリメントやプロテインを飲む断食などさまざまな方法があるんですが、僕はスタンダードに酵素ドリンクを飲む断食を推奨しています。

 

――どうして酵素ドリンクを飲むのでしょう?

 

石川:やっぱり栄養を全く摂らない断食は、栄養士的にもオススメできないんですよ。断食中も体の代謝を回す必要があるので、必要最低限の栄養素は摂る必要があるんですよね。酵素ドリンクで栄養素を補給して、断食中も体の代謝を回してあげて、かつ胃腸は休めるって状態を作るのが大切です。水だけの断食もできなくはないんですが、栄養素が入ってこないので代謝がうまく回らずに過ごすことになるので、単純に辛いって感覚が出やすくなってしまいます。

 

――なるほど。食べなきゃ痩せるっていう軽いノリで「水だけ断食」をすると、辛い経験になってしまうわけですね。

 

石川:そのとおりですね。わかりやすいところで言うと水だけ断食や適当な断食は単純に血糖値が下がってしまうので、軽い低血糖状態になってしまうんですよ。低血糖状態が長く続くと体がだるいとか気力が出ないといった症状が出ます。また糖質への渇望が起こるんですよ。もう食べ物のことしか考えられなくなってイライラするんですよね。食べなきゃヤバいみたいな状態になるので断食も継続できずにストレスだけ溜まります。
だから酵素ドリンクを使うのは、血糖値を安定させる目的もあります。酵素ドリンクはけっこう甘いので酵素ドリンクをこまめに飲んでいると血糖値が下がらずに安定するんですよね。

 

――血糖値が安定しないとどんなことが起こるのでしょう?

 

石川:力が出ないです。倦怠感やだるさを感じやすくなってしまいます。またひどくなると頭痛やめまいや手や指のふるえが起こって、最悪の場合は深い昏睡状態となってしまうのでかなり危険です。

 

――そうなると仕事どころじゃないですね。

 

石川:そうですね。「水だけ断食」は仕事にならないでしょうね。水だけ断食するなら断食道場みたいな場所に行って自粛生活しないとできないでしょうね。僕はやりたくないです(笑)。

 

――そうなると精神修行みたいな話になってきちゃうというわけですね。

 

石川:そうですね。僕のやっている断食とはまた別ものと言えるでしょう。

 

 

――酵素ドリンクを飲みながら行う断食なら、あまりお腹空かないんですか?

 

石川:多少お腹空いたなぁって感覚はありますが、お腹が空きすぎて死にそうとか、もう動けないって感じにはなりません。

 

――ある程度栄養素が補えていると、食べなきゃ! って感じにはならないわけですね。

 

石川:そうですね。イメージで言うと朝食前の軽い空腹感に近いかもしれません。

 

――酵素ドリンクってどれくらい飲むんですか?

 

石川:商品によって量はまちまちですが、僕がオススメしている酵素ドリンクだと、1日240mlでカロリーベースにすると600カロリーくらいは摂ります。

 

――意外とカロリーを摂るんですね。あまり動かない人だと1/3くらいのカロリーですよね?

 

石川:そうですね。活動量の少ない女性であれば、1日1,800カロリー程度で済むので、1/3くらいのカロリーになります。

 

気まぐれに始めたものは、気まぐれにやめてもOK⁉︎ 気まぐれだから16時間断食は続けられる

――いっしーさんの「気まぐれ断食」と言うのは他の断食と何が違うんですか?

 

石川:やること自体は他の断食と大きく違わないのですが、考え方が少し違うかもしれません。「月曜断食」や「週末断食」などの言葉が一人歩きをしてしまったため、断食は定期的にやらないといけないとか、決めた期間は絶対に実行しないと効果がないと思い込んでいる人がいるようです。「やらないといけない」という考え方に縛られないで欲しいというのが僕の考え方です。

 

――なるほど。

 

石川:むしろ気が向いた好きな時にやってもらえた方が良いと思っています。そっちの方が精神的に楽ですから続けやすいと考えています。

 

――好きなタイミングでやったらいいよって意味合いで「気まぐれ」と言っているんですね。それでもちゃんと効果は得られるんですか?

 

石川:もちろん定期的にきちっとやった方が効果は高いんですが、あまりにも真面目にやりすぎると精神的に辛くなってしまいます。本来だったら3日間断食をやった方が効果は高くても、実際にやる本人が3日間何も食べないことに不安を覚えているのであれば1日断食を3回やってもらった方が安心だよねって考えをしています。

 

――たしかに3日間食べないよりも1日の断食を3回と言われた方ができそうって思いますね。

 

石川:これは担当の編集者さんとも話していたのですが、「断食のハードルをもっと下げたい」という想いがありました。断食って聞くとちょっと特別感があって、ハードルが高そうでみんな構えちゃうじゃないですか。そのイメージを変えたいんですよね。断食ってやってみると意外と簡単だし、もっと気軽にやってもらいたいと思っています。

 

――そうですね。断食ってハードルが高いものだと感じます。

 

石川:そうなんですよ。でも実際はそんなことない。最近だと女性はヨガって気軽に行く人増えたじゃないですか。断食もそれと同じくらい気軽に取り組んでもらいたいんです。もともとヨガも断食も体の調子を整えるための健康法なので、日々の習慣としてヨガと同じように断食を取り入れてもらいたいなって思っています。だから気軽に取り組んでもらえるように「気まぐれ断食」というタイトルになりました。

 

――断食って決められたルールみたいなものがあり、決められた期間は必ずやらないといけないというある種の義務感みたいなものがあるように思っていました。そうではなくてもっと自由に気ままにやってもいいってことなんですね。

 

石川:そうですね。正しいやり方さえ押さえていればそれで良いと思います。本の中でも断食は途中で中断してもいいよってことを書いています。途中で止める際のやめ方とか、注意点なんかも書いてあります。

 

16時間断食を途中で止めても効果はあるの?

▲『気まぐれ断食』(SBクリエイティブ)より

 

――断食の本でやめ方を書いてある本って珍しいですね。

 

石川:そうですね。本来は3日間断食やろうと思ってたけど、途中で2日間で中断してもやめ方さえ間違わなければ問題ないと考えています。

 

――決めたら絶対やり通さないといけないということではなく、やめようかなと思った時の選択肢があるのは気持ち的にも楽ですね。

 

石川:気まぐれに始めたんだから、気まぐれにやめてもいいというくらいの気持ちで断食をやってもらってもいいのかなって思っています。

 

――そうすると途中でやめても効果はあるってことなんですか?

 

石川:もちろんやり通してもらった方が効果があるんですけど、途中でやめたからって効果がゼロになるわけではないので意味はありますよ。例えば3日間の断食の効果が「10」であれば、途中でやめても「6~7」の効果を得られるみたいな感じです。

 

――これって断食だけではなく、ダイエット全般で言える話ですよね。

 

石川:そのとおりですね。完璧にやろうとすると失敗しやすいですよね。

 

――私の周囲でもすごいダイエット頑張っている人がいるのですが、頑張りすぎてしまっているようで、強迫観念みたいなものに駆られているって言ってます。

 

石川:ダイエットになると結構ストイックにやりすぎてしまいますからね。もっと楽しみながら断食に取り組んでもらいたいなと思っています。

 

――食べることが苦になるのはよくないですよね。

 

石川:栄養士の立場からすると、本当にそう思いますね。食べ物に感謝しながらダイエットしてほしいですよね。

 

16時間断食をやってはいけない人はどんな人?

▲『気まぐれ断食』(SBクリエイティブ)より

 

――ちなみに断食をしない方がいい人っていますか?

 

石川:妊娠中の人や授乳中の人、成長期のお子さん。持病を抱えている人は控えた方がいいです。

 

――持病を抱えている人というと具体的にどんな持病を持っている人なのでしょうか?

 

石川:例えば過去に心筋梗塞や脳梗塞を経験されたことがある人。または内臓系の疾患を抱えている人は控えた方がいいです。断食はある程度リスクも伴うのでこうした人にはオススメしていません。もしどうしても断食をしたい場合は断食を治療として取り入れているクリニックに相談してもらった方がいいでしょう。

 

――治療として断食を取り入れているクリニックもあるんですね。

 

石川:そうですね。断食はもともと民間療法としても使われていたので、昔から断食で治療を行うお医者さんはいました。こうしたレベルの断食は僕のような栄養士では対応しきれない部分がありますので医師に相談する必要があります。僕ができるのは健康な人が病気にならないための断食なので、ダイエットとか、生活習慣病の予防を目的としたものですね。

 

――なるほど。他に気をつけた方がいい人はいますか?

 

石川:後は痩せ型の人も少し注意が必要です。BMIが18.5~19.0くらいの人は注意が必要です。

 

――私も痩せ型なので気をつけた方がいいですね。

 

石川:僕もどちらかと言うと痩せ型なのでやり過ぎないように注意してますよ。断食は良くも悪くも必ず体重が落ちるので、もともと体重が少ない人は痩せ過ぎてしまう可能性があるので注意が必要です。

 

他では得られない16時間断食特有の体験をして欲しい

 

――ところで、栄養士と断食って、対極なところがあるように感じますが、どうして栄養士のいっしーさんは断食を教えているのでしょうか?

 

石川:実は栄養士の仕事とすごく相性がいいんです。断食を教えることで栄養士として伝えたいメッセージが伝わりやすくなるなるんですよ。

 

――栄養士として伝えたいメッセージとはどんなものなんですか?

 

石川:「食事が一番大事だよ」というメッセージですね。ダイエットにおいても、生活習慣病の予防や改善も全部食事が重要なんです。それを伝えるために断食ってすごくいいんです。通常栄養士は「食事が大事だよ」というメッセージをセミナーや食事指導で伝えるのですが、言われた当人は頭では理解できていても、簡単に食生活は変えられないんですよね。それが栄養士にとってもジレンマなんです。

 

――なるほど。確かに食事が大事だって事はなんとなくわかっても具体的に取り組んでくれる人って少ないですよね。

 

石川:そうなんです。でも断食ってやってみると体がすごく変わるから、その体験をすると食事がいかに体に影響を与えているかが自分の体で体験することになります。
すると自然と「普段の食事も気をつけよう」と思ってくれます。自分でこの感覚を体験してくれた人は具体的に食生活を変えてくれることが非常に多いです。

 

▲『気まぐれ断食』(SBクリエイティブ)より

 

――たしかに自分で「身体が変わる体験」をすると、意識が変わるかもしれませんね。

 

石川:そう思ってくれたタイミングで栄養士から「食事が一番大事だよ」って伝えるとすごく響くんです。そこから本気で食生活を見直してくれる人が多いんです。

 

――それだけ本当に体が変わる体験を皆さんされるってことなんですね。

 

石川:そうですね。しかも食生活もリセットされるのでいいんですよ。例えば3日間断食をするとなったら準備食や回復食の期間を含め、1週間くらい食事制限をすることになるので、それまでの食生活を一度リセットできます。そうするとその後の食事習慣も、自然と良いものに変えられるんです。

 

――それはいいことですね。甘いものを毎日食べていた人もやめられたりするんですか?

 

石川:やめられる人、すごく多いですね。むしろ自然と食べたくなくなりましたと言ってもらえることが非常に多いです。断食期間中は白砂糖を摂らないので、ある意味シュガーフリーの期間を過ごすので砂糖抜きができるので、断食後は砂糖への欲求を自然と抑えられるようになります。

 

――すごくいいですね。甘いものに関してはいくら口で言っても全然響かないですもんね。

 

石川:そうなんですよね(笑)。それを自然と伝えられるって考えると栄養士としてとても相性がいいんです。

 

 

――頭で理解するのではなく、まず体験してもらうことが重要なんですね。

 

石川:そこが大事ですね。断食を教えていると健康意識が低い人にもメッセージが届けられるのでとてもいいなと思っています。なので表向きは断食を教えていますが、個人的には食育をしているという意識でお伝えしています。

 

断食は流行りのダイエットの一つと考えていましたが、インタビューを通じてもっと深い意味合いのあるものだと感じました。

気まぐれに行う断食習慣というのもよいかもしれませんね。興味がある方は、ぜひ「気まぐれに」断食を実践してみてください。

 

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