「背骨」の自由度を高めることで、身体の連動性と同調性が飛躍的にアップする!【運動科学者・高岡英夫氏監修】
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「背骨」の自由度を高めることで、身体の連動性と同調性が飛躍的にアップする!【運動科学者・高岡英夫氏監修】

2021年05月28日

こんにちは。運動科学者・高度能力学者の高岡英夫です。

人間の潜在能力(ポテンシャル)を一気に引き上げるためには、26個のある背骨一つひとつの自由度を高めて、軸を形成し、「背骨を通す」ことが非常に大事だということをご存知でしょうか。

前回に引き続き、今回は、背骨の自由度を高めて身体全体の連動性を高め、さらにパフォーマンスを高める方法をご紹介します。

最新刊『背骨が通れば、パフォーマンスが上がる! 』(高岡英夫 ・著/カンゼン・刊)から、一部抜粋いたします。

 

四肢同調性(ししどうちょうせい)は背骨の自由度に支えられている

 

肩甲骨が自由自在に運動し、肩甲骨の自由度が高まると、人間の脳は四足動物時代から受け継いだ、肩甲骨と腸骨の関係=「四肢同調性」にスイッチが入ります。

 

ゆえに肩甲骨を自由自在に動かせるように開発すると、それに応じて腸骨を中心に下半身の開発も進んできます。このことも運動科学の研究によってすでに明らかになった事実です。同様に、股関節を中心に開発を進めていくと、股関節と腸骨は直接つながっているので、必然的に腸骨の開発も進みます。その結果、肩甲骨や肩関節の開発も進むことになるわけです。

 

この性質を「四肢同調性」というのです。

私の著書『肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!』で発表したこの考え方は、皆さんに大きな希望を与えるものです。なぜなら、肩甲骨だけを開発しているのに、直接接していない部位の下半身までよくなってしまうのですから。

 

肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!

  • 作者:高岡 英夫
  • 発売日: 2018/5/9
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

また、股関節を開発していくと、股関節からずいぶん離れた肩甲骨や肩関節までよくなります。こんなうまい話はなかなかありません。しかも、両方をトレーニングすると相乗効果でかけ算するように開発が進んでいくことになります。だから希望があるのです。

 

体幹を巻き込んだ「身体全体の連動性を高める方法」

 

身体の一部を開発したとき、効果があるのはそこだけで、他の部位とは一切関係がなかったとしたらどうでしょう?

 

全身を細かく分け、そのひとつひとつを別々にトレーニングし、さらにすべての部位と部位を関連付けていくところまでやらなければならなくなるでしょう。気の遠くなるような大変な手間になってしまいます。

 

ところが肩甲骨という身体の1カ所の自由度を高めるトレーニングをやると、股関節を中心とした別の身体の部位の能力まで上がる。実際の身体運動でもっとも基本になるのは、「歩き」です。そしてランニングが続きます。これらはどんなスポーツにもほぼ共通でいえることです。

 

 

例外的な種目、水泳でいえば、歩きや走り以外にもクロールでゆっくり深い動作で泳ぐことが、陸上での歩行やランニングに相当する基本運動になるでしょう。こうした基本的な動きの中で、肩甲骨・股関節の連動性はどんどん高まっていきます。

 

そして、実際に競技動作、スポーツの専門的な動き、野球ならバッティングやピッチング、テニスならストロークやサービスをしたときには、体幹を巻き込んだ身体全体の連動性が高まっていきます。

 

これは四肢同調性に支えられた連動性で、四足動物時代に高度に発達した能力を復元するように使っていく、高度なトレーニングの発想なのです。この四肢同調性や連動性は、背骨の自由度とどのような関係にあるのか。皆さんの興味はここにあるはずです。

 

このことも運動科学の研究によって、すでに解明されています。

 

26個の背骨の一つひとつの「自由度」を高める

 

実は四肢同調性とは、26個の背骨のひとつひとつの自由度が高まっていくことによって、それが支えとなって成立するものなのです。別の言い方をすると、背骨の自由度に支えられながら、実際に動いたときに、連動性が生まれてくるのです。

それはなぜか。

 

肩甲骨を開発して、肩甲骨の自由度を高めることで、股関節や腸骨の自由度も高まり、その能力が高くなる場合、背骨が肩甲骨の開発度に応じて、ひとつひとつの自由度が高まっていくというメカニズムがあるからです。そこがまったく変わらなかったら、四肢同調性は起きないのです。

 

背骨が通れば、パフォーマンスが上がる! 』ではトレーニング法として紹介していますが、肩甲骨、あるいは股関節の自由度を深める開発を行っていくと、背骨がそれに応じた深さで自由度を持ってくるようになります。自分という脳と身体によってこの関係を実証する経験は、重要です。

 

背骨の自由度の開発は単純ではない

 

ここまでわかった皆さんが知りたいのは、この先の話でしょう。

 

「ということは、肩甲骨の開発に一所懸命取り組んでいけば、背骨の自由度の開発も同時に進行し、完了させることができるってこと?」

「股関節の開発を完璧に行ったら、背骨の自由度の開発もすべて終えることができるのか?」

その答えはNOです。残念ながら、そうは問屋が卸さないのです。

 

背骨は26個もあって、とんでもなく複雑な形状をしています。このことが何を意味しているかというと、そこにつながっている筋肉が桁外れに多く、しかも複雑に組織されているということです。

 

私は背骨と、背骨と関連する筋肉の研究も全部行いました。そのうえで、できるだけ背骨の開発も行えるように肩甲骨の開発法を組み立てました。股関節についても、できるだけ背骨の自由度が開発されるように、トレーニング法を組み立てたのです。

 

例えば、私の著書『キレッキレ股関節でパフォーマンスは上がる! 』で紹介した、「股関節揺解法」などはその代表的なトレーニング法です。

 

キレッキレ股関節でパフォーマンスは上がる!

  • 作者:高岡 英夫
  • 発売日: 2019/5/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

股関節揺解法は、股関節に中指を突き立てて、「モゾモゾ・モゾモゾ」とつぶやきながら揺解運動をかけ、それに合わせ股関節も精細に動かしていくメソッドです。

 

このトレーニングをやると、ビックリするようなフットワークが可能になったり、高効率で良質なストレッチが可能になったりするわけですが、そうした股関節の揺動緩解運動を起こすためには、近傍の背骨たち、仙骨から腰椎といったところが自由運動を起こさないとできないのです。

 

股関節のトレーニングに取り組みはじめたばかりの頃、揺動緩解運動がどうもピンとこない、なんかぎこちなくて上手にできない、と感じるのは、実は背骨の自由運動が起きてこないからなのです。

 

肩甲骨を立てるには背骨の自由度を高めることが重要

 

肩甲骨に関しても同じです。

 

肩甲骨を立てる=立甲する、両立甲、片立甲させていく。その両立甲、片立甲が上手くいくためには、ある程度背骨の自由度が高まっていることが条件になります。さらに肩甲骨を中心に動かしていく「動腕法」などを上手に行うためには、その近傍の背骨の自由度を開発していく必要があるのです。

 

つまり、肩甲骨や股関節の開発は、背骨の自由度の開発というものを、潜在的にも隠しネタとして用意しておかないと成功しづらいということです。そのため、従来の、通常考えられるようなストレッチで、股関節や肩甲骨を開発したり、筋トレで開発したりすることで、ある程度の効果が得られる場合もあるでしょう。

 

しかし、私が考える意味での本当の高度なパフォーマンス、身体資源に対してそのパフォーマンスが抜群に優れたものになるような方向での開発、要するに運動進化論的な開発は不可能なのです。

 

やればやるほど肩甲骨や股関節が自由自在に使えるようになる

 

それを可能にする秘密は、脊椎のひとつひとつの自由度を、脊椎のすべてにおいて互いの背骨同士の間で高めていくためのアイデア、そしてそれに基づいたテクニックに尽きるわけです。だから背骨の開発は重要なのです。

 

そして、肩甲骨、股関節の開発法の意味がわかったうえでの気づきが重要なのです。

「なるほど。もっと揺動緩解運動も自由自在に高度にできるようになる必要があるんだ。やればやるほど、肩甲骨や股関節が自由自在に使えるようになり、同時に背骨も開発されるのか」

実はそのとおりです。

 

一方、背骨は26個もあって、そして背骨それ自体からのアプローチによって、開発を待っている部分がとてつもなく大きいのです。なぜなら、背骨は26個もあって、複雑な形をしていて、しかも複雑に多数の筋肉が重層的に重なり合っているからです。

 

というのも、手足を持たない魚類があれだけの身体運動を何億年にも渡って、魚類であることをやめずに続けていて、動物の中でももっとも繁栄している種族でいられるのは、背骨だけで凄まじい運動が可能なように、背骨およびそのまわりの筋肉ができているからです。

 

そう考えると、四足動物になってからメカニズムがどんどん進んできた肩甲骨と背骨の関係、股関節と背骨の関係というものがそのうえにあるわけですが、肩甲骨や股関節の開発を背骨の自由度を無視して行ったとしても、すでに魚類時代にできあがってしまった、背骨とその周辺の筋肉の凄まじいメカニズムのすべてを再発掘し切れるわけではないというのがわかるはずです。

 

それが肩甲骨や股関節の開発だけで可能になるほど、背骨、および背骨まわりの筋肉は単純にはできていないのです。

 

(一部抜粋ここまで)

 

・・・

 

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