【ぐっすり眠りたい】上質な睡眠のためには「お風呂の入り方が大事。副交感神経とデルタ波の話
2020年12月02日正しく入浴すると効果絶大!? 入浴は、入り方次第で睡眠の質を驚くほど最高のものにしてくれます。
第1回の前回に続き、なぜ入浴で上質な睡眠を得れるのか、さらにその理由を深掘りしていきます。
(眠りとお風呂の専門家・小林麻利子氏の新刊『入浴の質が睡眠を決める』(カンゼン、12月14日発売)から一部抜粋して掲載します)
なぜ入浴で上質な睡眠を得られるのか──理由3:温熱作用、浮力作用により、副交感神経が優位になるから
自律神経とは、自分の意思とは無関係に、私たちの体温や呼吸、血液循環、消化、免疫など、さまざまな機能を無意識に制御し続けている神経です。
活動的に生活している昼間は交感神経が優位になり、寝る前やリラックス状態の際は、副交感神経が優位になるようになっています。
深いノンレム睡眠には副交感神経が関わっています。
例えば、副交感神経の働きにより心拍数は入眠とともに減少し、深いノンレム睡眠中はもっとも少なくなります。血圧も体温も同様に、入眠とともに低下していきます。
正しいお風呂のつかり方:40度以下のお湯なら副交感神経が優位になる
スムーズに深い眠りに移行させるには、寝る前に副交感神経がしっかり優位になっている必要があるのです。
そのための最も効率の良い方法が、入浴です。
適切に浸かりさえすれば、副交感神経が刺激されるのですから、こんなにも簡単なことはありません。
ただ、お風呂に入りさえすれば副交感神経が優位になるわけではなく、正しくつかることが大切です。
入浴は、40度以下のお湯なら副交感神経が優位になりますが、42度以上では交感神経が刺激されてしまい、寝る前の行為としてはよくありません。
熱いお湯が好き、という方もおられると思いますが、深部体温が上昇するまで浸かっていられない、ということも多く、そうすれば前回の記事でご説明した「深部体温の上昇」も難しくなってしまいます。
副交感神経を優位にするには、呼吸法やアロマテラピーでもいいわけです。
もちろん、それらもとても効果は高いです。
お風呂の「浮力」も副交感神経を刺激させる
でも、地上では考えられないほどの「浮力」が入浴にはあります。
体重が10分の1になるといわれるほどの体を浮かせる力があり、お湯を深く溜めれば溜めるほど、その浮力を強く感じ、なんともいえない開放感が味わえるのです。
これは、今流行りのサウナではなし得ません。
サウナでは、深部体温を高くすることはできますが、浮力や温度による副交感神経を刺激させる力はありません。
日本にはさまざまなリラクゼーションに溢れていますが、こうした浮力を感じられるリラクゼーションを簡単に自宅で行えることは、本当に世界中探しても見当たらないほど、素晴らしいことなのです。
なぜ入浴で上質な睡眠を得られるのか──理由4: 視索前野(しさくぜんや)の温度が上昇し、デルタ波が増えるから
自律神経の司令塔は、脳の視床下部というところにあります。
この視床下部の前方に、視索前野という部分があります。
この視索前野には温度を感知する神経細胞が存在しており、体温調節の中枢となっています。
そして、体内時計の司令によって、視索前野は睡眠に入る少し前から活動をはじめ、睡眠中はずっと活動している、睡眠にとってはとても大切な部分です。
そんな視索前野ですが、2003年に発表されたアメリカのバージニア州ロサンゼルスヘルスケアシステムの研究で、視索前野の温度が上昇することで、もっとも深い眠りのデルタ波が増えるということがわかっています。
脳波というのは、脳で発生する電気活動を記録したもので、ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波があります。
複数の脳波が混在しますが、睡眠の深さなどによって、中心となる脳波が変化するのです。
脳の視索前野を温めることでデルタ波が増え、深い眠りにつながる
まず目がしっかり覚めているときは、ベータ波が中心です。
そして、寝る前など、リラックスして目を閉じているときは、アルファ波が中心に出現します。
眠りに入ろうとすると、シータ波が中心となり、さらに眠りが深まると、デルタ波が目立つようになります。
ノンレム睡眠の中でもっとも深い睡眠段階のステージ4では、このデルタ波が50%あればその段階であると判断されます。
つまり、脳の視索前野を温めることで、デルタ波が増え、深い眠りにつながる、というわけなのです。
この視索前野の温度上昇というのは、体の加熱によってもたらされることがわかっています。
体は、シャワーや半身浴では深部体温を上げることはできません。
(次回:第3回に続く)
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【新刊紹介】
著者:小林麻利子
発売日: 2020/12/14
発行所: (株)カンゼン 価格:1,760円(税込)
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