スロートレーニングとは?ゆっくり3秒で筋トレするだけで筋肥大効果抜群のレジスタンス運動を徹底解説!
2021年01月06日手軽で効果が高い「スロートレーニング」
こんにちは、ライターのくちやまだです。筋力トレーニングを続けるにあたって、最大の障害、それは……「なんかしんどい」。
いやいや、わかってるんです。トレーニングが終わった頃には、気分爽快で、「やってよかったな」っていつも思うんですよ。
でも、やっぱりそれがわかっていてもなお、腰が重いときがあります。そのうちに、トレーニング自体をしなくなってしまい……。
2ヶ月であなたは確実に生まれ変わる!パーソナルトレーニングなら【Kenz】
そんな繰り返しだなあ、という人は、僕だけではないと思います。
トレーニングをすることによって待ち受けている負荷を考えると、つい、さぼっちゃうことがあるんですよね。
でも、大事なのは、運動を続けること。手軽なトレーニングで、かつ、筋力が上がる方法があれば……と都合のよいことを「身体を鍛えたい文化系中年おじさん」は思うわけですが、あるんですね、そんな夢のような方法が。
それは「スロートレーニング」です。
その名のとおり、ゆっくりとした軽い負荷なのに、筋力が増強できるトレーニングです。
いや、正確には、ゆっくりとした軽い負荷「だからこそ」効果が出るのです。
カラダチャンネルの読者ならば「スロートレーニングなんて知ってるよ」という人も多いかもしれません。
しかし、そのメカニズムや正確なやり方までは、意外と知られていなかったりします。
スロートレーニングの動画も紹介しながら、解説していきたいと思います。
「スロートレーニング」の効果・メカニズムとは
スロートレーニングとは、低速度で筋緊張を持続させるレジスタンス運動です。
ゆっくりとした動作によって、筋肉の発揮張力を維持させるため、「筋発揮張力維持法(LST: Low intensity, Slow and Tonic force generation)」とも呼ばれます。なんだか厳めしい名前ですが、動作はいたって簡単です。
スロートレーニングにも、さまざまな動作がありますが、「3~5秒程度かけて上げて、3~5秒かけて下げる」が基本です。
5秒だとちょっとゆっくりすぎて動きにくいかもしれません。
実際にやってみると、3秒くらいがほどよい「遅さ」のように思います。
スロートレーニングは、動作中に力を抜かずに、力を入れっぱなしにして行うのが特徴です。
スロートレーニングのときに身体の中が、どういう状態になっているかというと、低酸素状態になっています。
考えてみれば当然ですよね。筋肉は力を込めると、硬くなって血管を押しつぶします。
そうして血管の流れが阻害されると、筋肉内の筋酸素化レベルが低下するため、低酸素環境となり、筋肥大のための刺激となります。
スローな動きだからこそ効果を得られる
もし、動作が速いと、どうでしょうか。ちょっと腕の曲げ伸ばしをすばやくやってみてください。筋肉は柔らかくなるのがわかりますよね。
その逆の状態として、わかりやすいのは「力こぶ」です。筋肉がカチカチに固くなりますよね。
これが、内圧が上昇して、低酸素になっている状態です。
この状態をキープしながら運動しようと思うと、おのずと動作のスピードは遅くなることになります。
低酸素環境で運動すれば、乳酸が大量に蓄積されます。
トレーニング後に筋肉が大きくなる「パンプアップ」の状態を作り出せるというわけです。
完全個室パーソナルジム【Lastyle】 新規入会促進プロモーション
「なぜゆっくりでも効果的なのか」ではなく、むしろ「ゆっくりでないと効果が出にくい」。
その点に目をつけたのが、スロートレーニングなのです。
【参考記事】
・石井直方. 中高年のためのスロートレーニング:科学的な工夫で筋肉づくり. 駒場祭公開講座2017.
「肘や膝を伸ばしきって、休まない」のがコツ
スロートレーニングの実践はすぐできますから、その場でやってみましょう。「最強の筋トレ」ともいわれるスクワットがわかりやすいかもしれません。
最大筋力の30~40%で、筋肉内の血流の抑制が起こるといわれています。そんなことも頭に置きつつ、スクワットをゆっくり行っていきましょう。
3秒かけて腰を落とす。そして、また3秒かけて上げるのですが、立ち上がりきらない状態から、また屈むようにしてください。
これを10回も行えば、ハムストリングと大腿四頭筋はパンパンになるはずです。
やってみるとよくわかりますが、実はゆっくりやるほうが負荷は高いんです。
また、フォームもきちんとチェックしながらできます。正しい姿勢でのトレーニングが身につけられるのも、スロートレーニングの良い点です。
下記の動画などを参考にしながら、正しい姿勢でのスクワットをゆっくりやってみることから、始めてみてはどうでしょうか。
▼足腰を強くする筋トレ『スロースクワット』【50代・60代健康チャンネル】
さらに下記では、スクワットを皮切りに「シングルレッグカーフレイズ」(腓腹筋・ヒラメ筋)、「ランジ」(大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリング)、「サイドスクワット」をスロートレーニングで実践してくれています。
▼【スロトレ】下半身トレーニング|10分間5種目の耐久戦!
腕立て伏せでも同じことが言えます。腕を伸ばし切る前に、再び腕を曲げるようにしてください。
このように、肘や膝を伸ばしきって休まないことを「ノンロック」と呼びますが、より筋の張力を維持することができます。下記の動画をみてみてください。
▼【スロトレ】8分間5種目のスロープッシュアップ【大胸筋・上腕三頭筋】
ここでは「5秒で下がる→2秒で止める→2秒で上がる」というプッシュアップが紹介されています。これもやってみると、見た目の印象よりも相当に、しんどいことがわかると思います。
スロートレーニングで筋肉内のタンパク質が向上
スロートレーニングの効果は、世界でも注目されています。
カナダの研究グループが、スロートレーニングで筋肉内のタンパク質がどうなるかを調べました。
被験者には、膝の屈伸運動を片足ずつ行ってもらいます。
片方の脚は1秒間の上げ下ろしを行い、もう一方の脚は6秒間かけての上げ下ろしを行い、筋肉の変化を測定しました。
測定方法は、炭素を13Cで標識したアミノ酸を注射し、トレーニング前後で、筋標本を採取。
マークをつけたアミノ酸が筋肉の中でどれだけ取り込まれたかで、たんぱく質合成を把握することができます。
その結果、トレーニングから24時間~30時間で、筋肉のなかではタンパク質の合成がはじまっていることがわかりました。
これは、スローでトレーニングを行った足のほうだけ起きます。つまり、早いトレーニングでは起きない反応が、スロートレーニングでは起きるということです。
変化が訪れる24時間後が楽しみになりますね。
こうして効果が裏づけられると、自然とモチベーションも上がります。
なかやまきんに君が、1日10分で始められる、超初心者向けのスロートレーニング動画、基本6種目を解説してくれているので、参考にしてみてください。
▼【スロートレーニング】超簡単筋トレ基本6種目から始めよう
翌日に起きる体内での変化をイメージしながら、1日10分から取り入れてみましょう。
安全性の面でもスロートレーニングはおすすめ
スロートレーニングの良い所は、手軽で効果が高いことだけではありません。安全性の面でも、おススメしたいトレーニングです。
スローな動きなので、関節への負荷が少なく、障害が起きにくいんですね。
運動時における関節の安定性という点でも優れています。また、加圧トレーニングのように局所的な加圧ではない点でも安全だといえます。
高齢者が要介護になる原因の多くが、骨折や転倒など、運動器の機能低下によるものです。中高年のうちからスロートレーニングを習慣づけることで、寝たきり予防にもなるということです。
スロートレーニングは、厚生労働省のeヘルスネットでも紹介されています。
高齢社会を迎えている私たちにとって、これからますます必要になるトレーニングだといってもよいでしょう。
【参考記事】
「筋肉との会話」を楽しめるスロートレーニング
スロートレーニングについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事で紹介されている動画を実践してみるだけで、筋肉の状態がかなり変化することを実感できると思います。
実際にひと通りやったうえで、この記事を書いている私が、今まさにそれを実感しています……。
それにしても、「24時間後にタンパク質が合成される」と思うと、少ししんどくても「やっておこうかな…‥」と思うから、不思議なものです。
カラダチャンネルでは、さまざまな切り口から筋トレを深堀りしています。
動画だけではなく、テキストを読み込んで「なぜそれが効果的なのか」と腹オチしたうえで、トレーニングをすると、さらに効果は上がりそうです。
トレーニング前後で、身体がどうなっているか、知りたいですものね。
今、自分がしていることに集中する――。
スロートレーニングには、そんなマインドフルネス的な効果も期待できそうです。
人とじっくり話すことでお互いを理解するのと同じように、ゆっくりと鍛えるスロートレーニングで、ぜひ自分の筋肉との対話を楽しんでみてください。