『正しい筋トレの教科書』著者に聞く「間違ったスクワットのフォーム」にならないための注意点
2020年09月25日NSCA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリストの坂詰真二さん著書の『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』。
そのわかりやすさから、発売以来「これこそすべてのトレーニーのための教科書!」と筋トレ愛好家だけでなく、初心者やパーソナルトレーナーの間でも評判になっています。
同書では、全身をバランスよく鍛えるためのメニューとして自体重トレーニングをはじめ、ダンベルトレーニングやチューブトレーニングまで幅広く網羅されており、その中から代表的な自体重トレーニングとしてスクワット・腕立て伏せ・腹筋の3つが挙げられています。
この3つのメニューの正しいフォームについて、坂詰さんご本人にお話をうかがいました。第1弾はスクワットです。
坂詰真二(さかづめ・しんじ)
NSCA認定ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。同協会認定パーソナルトレーナー。「スポーツ&サイエンス」代表。横浜市立大学文理学部卒。株式会社ピープル(現コナミスポーツ)で教育担当職を歴任後、株式会社スポーツプログラムスにてアスリートへのコンディショニング指導を担当。1996 年に「スポーツ&サイエンス」を興し、指導者育成、各種メディアを通じての運動指導などで活躍中。『坂詰式正しい筋トレの教科書』『今日から自宅がジムになる「宅トレ」』(ともにカンゼン)など著書多数。
公式ブログ:トレーナー坂詰真二のスポーツ&サイエンス
筋トレはとにかく「正しい姿勢・正しいフォーム」が大事
──今回は、まずスクワットを行うときの注意点からうかがいたいと思います。
坂詰真二さん(以下・敬称略):筋トレはとにかく正しいフォームで行わなくては思ったような効果が得られませんし、ケガのリスクが生じます。鍛えたい筋肉に、ピンポイントで刺激を与えることが大切なんです。
とくにスクワットは、正しいフォームを覚えるのが難しいエクササイズです。見よう見まねではなく、本書で紹介しているカラダの各部位の位置や向きを一つ一つ確認しながら行えば、自ずと正しいフォームは会得できます。
──なるほど。さっそくくわしく教えていただきたいです。
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
「正しいスクワット」のためには、初めに椅子を使ってフォームを調整
──スクワットはよく「膝をつま先より前に出さない」などと言われますが、実際にやってみるとそれを確認するのが大変です。どうやって正しいフォームを確認すればよいでしょうか?
坂詰:スクワットは「しゃがんで、立つ」の繰り返しですが、しゃがんだ状態のフォームを正しくできるかどうかが大切です。ですが、しゃがんだ状態だと、筋肉に強い負荷がかかっていますからそこで細かくフォームをチェックするのは容易ではありません。
ですので、わたしは椅子に座った状態からスクワットを開始して、その位置でフォームを作ることをお勧めしています。こうすることで誰でも無理なく正しいフォームをつくることが可能になります。
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
──なるほど、逆転の発想ですね。チェックポイントが挙げられていても、チェックする方法にも触れられているのは見かけません。
坂詰:立ち上がった状態は、筋肉にかかる負荷が軽いですからフォームの個人差は出にくいんです。身体を沈めたときの正しさがカギになるんですね。
椅子を利用して正しいスクワットのフォームをつくれるようになったら、椅子を外せばいいのです。
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
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【スクワットのフォーム】つま先がヒザの前に出過ぎないように
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
坂詰:まず、ヒザの位置と向きに注意します。自分のヒザとつま先の位置関係を見てください。よく膝をつま先より前に出さないと言われますが、骨格や柔軟性によって多少個人差もありますし、ヒザがつま先より少しくらい出ても構いません。
ただし10センチ以上出ると出すぎです。また、ヒザとつま先をともに少し外に向けておくことも大切です。具体的な角度は15度くらいですね。
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
──ヒザとつま先が同じ位置・同じ向きになるように調整するんですね。
坂詰:ええ。ヒザの位置と向きに注意しないと、ヒザに負担がかかって関節を傷める原因になりかねません。
──これは座った状態でないと正しい位置を確認しにくいですね。
坂詰:そうなんです。椅子に座っていれば、筋肉に負荷のかからない状態なので正しいフォームを作るのが容易になります。
【スクワットのフォーム】上半身はまっすぐ30度前傾
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
──では、上半身で注意すべき点はありますか?
坂詰:背すじをまっすぐ伸ばして、目の下に膝がくるまで前傾します。角度でいうと30°位です。背中を丸めて猫背になったり、逆に反らしたりすると太ももに効かなくなるだけでなく、腰に負担がかかるんです。
──そうなんですね。沈める・立ち上がるという動きについては注意点はありますか?
坂詰:逆にちょっと考えてみてほしいんですが、自分が椅子から「よっこいしょ」と立ち上がるのを想像してください。どんな動きをしますか?
──えーと……そうですね、いったん前のめりになると思います。ヒザあたりに手をつくこともあります。
坂詰:そうですよね。お辞儀するように前かがみになることが多いと思います。それは楽だからなんですね。つまり下半身にかかる負荷を軽減してしまっているということです。
それは日常動作なら良いですが、トレーニングとしては間違いです。立ち上がるときは30°前傾させた上半身を少しずつ起こすようにしてください。
──腑に落ちました(笑)。
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呼吸は「吐きながら立って、吸いながら戻る」
──そのほか動き方について注意点はありますか?
坂詰:動作のスピードと呼吸ですね。どちらも筋トレでは注意すべき点です。まずスピードですが、スクワットの場合は立つのに1秒・戻るのに2秒の速さで行いましょう。
──ゆっくりですね。
坂詰:高速だとトレーニング効果が薄まってしまいます。下から上への上昇動作は1秒、上から下への下降動作は2秒が基本と思ってください。もっと負荷をかけたいときは上昇動作を2秒・下降動作を4秒かけて行います。
──わかりました。では、呼吸についてはいかがでしょうか。
坂詰:「上昇動作で息を吐き、下降動作で息を吸う」のが基本です。ですからスクワットの場合は息を吐きながら立ち上がって、息を吸いながらしゃがんでいきます。
筋肉は、下降動作よりも上昇動作の方が発揮できる出力が小さいんですね。そして私たちは息を吸う時よりも吐く時の方が力を出しやすいので、上昇動作では息を吐くことによって出力の小ささを補います。
逆に下降動作では息を吸う余裕があるのです。慣れれば意識しなくても自然とできるようになりますよ。
筋肉を肥大させるために適切なスクワットの回数は6~15回
──回数はどのくらいを目安にすればよいでしょうか?
坂詰:筋肉を肥大させるために適切な回数は6~15回。6回から始めて、筋力アップに合わせて少しずつ回数を増やしてください。
この際、ギリギリできる限界の回数を行う必要はありません。「あと1~2回ならできる」という余力が残る程度で十分な効果を得ることができます。セット間に60秒休みを入れながら3セットを基本にしてください。
16回以上できるようになったら負荷の高いバリエーションに
──15回以上できるようになったらどうすればよいでしょう?
坂詰:その場合は、負荷の高いバリエーションに移ってください。スクワットなら、軽い順にハーフ・スクワット、パラレル・スクワット、スプリット・スクワット、シングル・スクワットがあります。
▲『1日3分で筋肉は作れる!! 坂詰式正しい「筋トレ」の教科書』(カンゼン)より転載
──スクワットにもいろいろな種類があるんですね。
坂詰:今日はパラレル・スクワットについてお話しました。一番軽いハーフ・スクワットは、ヒザと股関節を90度まで曲げるスクワットです。スプリット・スクワットとシングル・スクワットは、足を前後に開いて行うスクワットです。
──無理なく強度を上げるにはどうしたらよいのでしょう?
坂詰:まず基本として、15回×3セットが余裕を持ってできるようになったらレベルを上げて、回数は6回から再スタートします。
ただし冒頭でお話したように、正しいフォームで行うことが前提。崩れたフォームでたくさん回数ができるようになったからといって、バリエーションをレベルアップしても意味がありません。
──よくわかりました。ありがとうございました。引き続き、第2回「腕立て伏せ編」と第3回「腹筋編」についてもよろしくお願いいたします。
坂詰真:よろしくお願いいたします。
▼次回の記事はこちら
実際の映像で、ぜひ注意点を確認してみてください!
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- 作者: 坂詰真二
- 発行元:カンゼン
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