【効率的に筋力アップ】「加圧トレーニング」の効果とは──自宅でのやり方や回数の目安、メリットを解説
2020年07月22日加圧トレーニングとは
「加圧トレーニング」は、専用のベルトで腕・脚を締め付けて行う筋力トレーニングです。
血流を適切に制限することにより、低い負荷で非常に大きな効果が得られます。日頃ハードな筋トレをしている人はもちろん、体力が落ちている人やリハビリを始める人にも最適です。
血管には、動脈・静脈の2種類があります。
そのうち、心臓に戻る血液が流れている静脈中心に圧力をかけると、加圧した部分に血液が溜まっていきます。
この状態で行うトレーニングが加圧トレーニングと呼ばれるものです。
加圧トレーニングの効果──筋肉の増強など高負荷の運動をしたときと同じ効果が期待できる
加圧した状態では、日常生活と同じぐらいの運動でも高い負荷の運動と同じ効果が期待できます。
加圧された筋肉は内部の酸素が少なくなり、乳酸が発生します。すると成長ホルモンの分泌が促進され、体内でプラスの働きをします。
加圧トレーニングの効果は多岐にわたるのですが、まずは筋肉の増強が期待できます。より大きな筋肥大・筋力増強効果が期待でき、速筋と遅筋の両方を同時に鍛えられることから、近年非常に注目されているトレーニング法なのです。
【参考記事】
ただし、身体バランス能力のパフォーマンス向上を目指したい場合などについては加圧トレーニングだけでは不十分です。
加圧トレーニングは非常に効率的な筋力トレーニングではあるものの、より効果的に身体パフォーマンスを高めるには、ほかのトレーニングと組み合わせるなど、アプローチに工夫が必要であると言われています。
【参考記事】
・加圧トレーニングの実施がパフォーマンスへ与える影響 *池谷 直美, 重森 健太, 金原 一宏, 西田 裕介 |東海北陸理学療法学術大会誌(J-STAGE)
また、成長ホルモンには筋力増強のほかに健康・美容面での効果もあり、美容医療の世界でも注目されています。
では、健康・美容面の主な効果についてはどのようなものがあるのでしょうか。
加圧トレーニングのダイエット効果
加圧トレーニングは、ダイエットの効果が期待できます。成長ホルモンには脂肪の分解促進作用もあることから、美容やダイエットの面からも注目を集めています。
ただし、加圧トレーニングそのものの消費カロリーは大きくありません。ダイエット目的なら、摂取カロリーのコントロールや有酸素運動と組み合わせましょう。
これにより、内臓脂肪のレベルが下がる・皮下脂肪が減るといった効果が見込めます。
またトレーニングによって筋肉が増えてくると、代謝もよくなってエネルギーを消費しやすく脂肪のつきにくい体になります
成長ホルモンが分泌されやすくなりアンチエイジングの効果も
さらに、加圧トレーニングはアンチエイジングの効果も期待できます。先ほど、加圧トレーニングでは成長ホルモンが分泌されると延べました。成長ホルモンの効果には、製薬会社や化粧品メーカーなども注目しています。
成長ホルモンの美容効果には、次の3つがあると言われています。
①抗利尿作用で体内の水分蒸散を防ぎ、肌ツヤを改善する
②肌の水分保持量を増やす
③皮膚のターンオーバーを促進する
【参考記事】
・眠り美人は素肌美人。良い睡眠の人は肌がキレイってホント? | アルフェ | 大正製薬
加圧トレーニングによる成長ホルモンの分泌で、肌のハリや紫外線によるシワの改善が期待できます。
加圧トレーニングのやり方
加圧トレーニングでは、
- 腕・腿の付け根に専用のベルトを巻いて
- 負荷の軽いトレーニング
を行います。
基本的にはジムでトレーナー・有資格のインストラクターの指示に従って行うことがベストですが、注意点を守れば自宅でもできます。
なお、この記事では加圧トレーニングの元祖と言える「日本加圧トレーニング協会」の理論をベースにしています。
ベルトの巻き方
ベルトを巻く位置・締める強さは、ジムのトレーナーや有資格のインストラクターの指示に従いましょう。どの程度強く巻くかを確認してくれます。
自宅でやる場合は、少なくとも初回はインストラクターにベルトを締める強さと位置を確認してもらいましょう。血流を「適切に」制限するための巻き方、適切な状態の感覚を知る必要があるからです。
自分で締めるときは、初めは緩めに、様子を見ながら徐々にきつく締めるようにします。地肌に直接ではなく衣服の上から締めます。なお腕と脚の両方同時にベルトを着けるのは避けるようにしましょう。
ベルトは、単体のベルトのほかトレーニングウェアにベルトが付いているタイプもあります。購入する場合はウェアについているタイプの方が販売店が多く購入しやすいようです。
トレーニングの内容
トレーニングの負荷は、通常の筋トレに比べるとかなり軽めで十分です。
以下にシェイプアップの推奨例を挙げておきます。少ない回数で始めて、慣れてきたら回数を増やしていきます。
・エクササイズ 各10~30回ずつ1~3セット
・脚上げ(その場で腰の高さまで脚を上げる足踏み)
・スクワット
・クランチ(起き上がらない腹筋)
・プッシュダウン(脇を締めて喉の前で手を組み、手を離して手を体の横に下げる)
・ウォーキング 脚だけに緩く巻いて20分
※それ以上やる場合はいったん外して数分の休憩を挟む
加圧ベルトのメーカーのサイトに、おすすめのトレーニング方法がまとめられています。参考にしてください。
【参考記事】
・目的別トレーニング方法:自宅でできる!加圧トレーニング専用ウェア<カーツ>
また、YouTubeなどにアップされている解説動画も参考になるでしょう。
【4分でできる】脂肪燃焼エクササイズ HIIT加圧トレーニング – YouTube
回数と時間──週に2回・1回30分が目安
回数と時間は、週に2回・1回30分が目安です。
トレーニングは2~3日あけて行いましょう。これは筋トレと同じ理由で、筋組織を休ませる必要があるからです。
腕は10分・脚は20分でベルトを外します。もっと長くトレーニングしたい場合は、いったんベルトを外して数分除圧してから再び加圧します。付けっぱなしはやめましょう。また、それ以外にもトレーナーの指示があれば従いましょう。
なお加圧トレーニングの後に加圧しない状態で有酸素運動をすると、脂肪燃焼の効果が高くなります。
加圧ベルトの圧力の目安
先ほどもお話した通り、自宅で行う場合であっても、適切な圧力を知るために少なくとも初回はインストラクターに確認してもらいましょう。下記の参考記事で、加圧トレーニングを行っているクリニックの医師が適切な加圧の状態を解説しています。
【参考記事】
・医師が解説する加圧トレーニング | 診療案内 | 福岡のみらいクリニック みらいクリニック
また、具体的なベルトの巻き方はこちらの動画がわかりやすいです。
【加圧ベルトの巻き方・使い方】自宅で加圧トレーニング – YouTube
血を止めるのでなく、あくまで制限するイメージです。自分で確認する際は、締める強さよりも肌の色や血管の状態を見た方が間違いがありません。次のような状態が適切です。
・肌が赤みを帯びる
・静脈が浮き上がる
・痛みを感じることができる
もしも肌が白くなり痛みを感じなくなっているとすると、強く締めすぎです。そのまま長時間運動することは危険なので、すぐにベルトを外しましょう。
加圧トレーニングの注意点
加圧トレーニングを行うにあたって、いくつか注意点があります。
まず、以下の疾患がある人・状態に当てはまる人は、事前にインストラクターに相談しましょう。
・心臓の障害、急性疾患・化膿性疾患、悪性腫瘍
・骨折・脱臼・肉離れ、骨粗鬆症、皮膚疾患
・高血圧症、妊娠中
そのほか、以下の注意点を守って適切なやり方で行いましょう。
・締めすぎない(肌が白くなるまで締めない)
・加圧の時間を守る
・腕・脚同時に締めない
加圧トレーニング中に不調を感じたら、すぐにベルトを外して休むようにしましょう。
自宅で加圧トレーニングをする場合
自宅で行う場合は、すでに述べた注意点を守って行いましょう。ポイントをまとめると、以下のとおりです。
・週に2回・1回30分(2~3日間隔をあけ、長時間行うときはいったん外して除圧する)
・強く締めすぎない(NG……肌が白くなる、痛みを感じなくなる)
・腕と脚を同時に締めない
・不調を感じたらベルトをすぐに外す
加圧トレーニングは、少ない時間と負荷で大きな効果が得られます。そのためには注意点を守って行うことが大切です。
最大限の効果を得られるように安全に行いましょう!
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