1日あたりの糖質の摂取量の目安は結局何グラム? ダイエットや筋トレなど、目的・条件別に1日の糖質摂取量の計算方法を解説
2022年01月05日米やパン、パスタなどの主食……つまり糖質を多く含む食べ物の摂取を控える、いわゆる「糖質制限」がダイエットに有効だとよく聞きます。
しかし、1日あたりの糖質の摂取量って、結局どのぐらいが適切なのでしょうか? きっとよくわからないという方も多いですよね。
実は、1日あたりの適切な糖質の摂取量は、ダイエットしたいのか、筋トレしたいのかなど、それぞれの目的によって違います。
この記事では、目的別・条件別に糖質摂取量の計算方法をまとめます。
自分にとっての適切な1日あたりの糖質量を計算して、役立ててくださいね!
※糖質制限については健康状態や体調に不安のある方は、必ず医師との相談したうえで行いましょう。
糖質の摂取量は1日何グラムが適切? 女性・男性の摂取量の違いは? 計算方法は?
消費者庁によると、日本人の1日あたりの炭水化物(糖質と食物繊維を合わせたもの)の摂取基準量は1日320グラムです。
下記リンクの中に記されています。ただし冒頭でお話したとおり、適切な摂取量は目的や条件によって変わります。
一般的な健康維持が目的なら、次の式で適切な量が計算できます。
1日に必要な炭水化物の摂取量(g)=標準体重(kg)×活動量(kcal)×0.6÷4
※標準体重=身長(m)×身長(m)×22
※活動量の数値については以下(軽い〜重い)を参考にしてください。
- 軽い(生活の大半座っている):25~30
- 普通(通勤・買いもの、軽い運動):30~35
- 重い(長時間移動したり立っている、活発な運動):35~
たとえば身長170cm(1.7m)で筋トレをしている人の場合、必要な炭水化物の摂取量は次のとおりです。
例:1.7×1.7×22×35×0.6÷4=333.8g
なぜこの式で計算できるのか、ちょっと解説しますね。
まず、「標準体重」は身長の2乗に22をかけて算出します。22はもっとも病気になりにくいとされるBMI(肥満度を表す体格指数)の値です。
「活動量」については、軽いトレーニング程度なら「普通」、しっかりトレーニングをしている人は「重い」に該当します。
この2つをかけること(標準体重×活動量)で、身長と活動量に応じた必要カロリーがわかります。
一般的には、1日あたりの必要カロリーのうち50~60%を炭水化物から摂るべきとされています。
1日あたりの必要カロリーに0.6をかけると、「1日あたりの炭水化物から摂るべきカロリー」が算出されます。
もし炭水化物から摂る1日あたりの必要カロリーの割合を変えたい場合は、0.6を希望の割合に変えましょう。
最後に、炭水化物のカロリーは1グラムあたり4kcalです(ちなみに、炭水化物のカロリーはほとんどが糖質由来のもので、炭水化物に含まれる食物繊維由来のカロリーはわずかです)。
つまり、「1日あたりの炭水化物から摂るべきカロリー」を4で割ると、摂るべき炭水化物の量(グラム)がわかるということです。
よく摂るべき炭水化物の量について男女の違いを気にする人もいますが、まずは性別より体重と運動習慣の有無・程度、目的が重要です。
・【参考記事】「栄養素等表示基準値及び栄養機能食品に係る食品表示基準案について」消費者庁
・【参考記事】「BMI」e-ヘルスネット|厚生労働省
PFCバランスとは:必要なカロリーをたんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)に分けて摂取するという考え方
PFCバランスとは、必要なカロリーをたんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)に分けて摂取するという考え方です。
ダイエットや筋肥大など、それぞれの目的によってPFCバランスが変わります。
厚生労働省による「生活習慣病予防のための比率」は次のとおりです。
たんぱく質13~20%+脂質20~30%+炭水化物50~65%
・【参考記事】「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」厚生労働省
ただしこれはボディメイキングを目指す人には少しズレのある比率です。
次に、ダイエットや筋肥大が目的の人の場合、それぞれPFCバランスがどうなるか見てみましょう。
「ダイエット」が目的なら1日あたりの糖質摂取量は70~130グラム
ゆるめの糖質制限ダイエット「ロカボ®」では、1日あたり70~130グラムの糖質摂取を推奨しています。
ダイエットならこの摂取量がオススメです。
また、ハードな糖質制限には「ケトジェニックダイエット」があります。
ケトジェニックダイエットと軽めの運動を組み合わせた場合では、標準体重×0.75グラムが目安となります。
ただし詳しくは後述しますが、これでは摂取すべき糖質が少ないのでは? と思われます。
ケトジェニックダイエットでは、次のPFCバランスを推奨しています。
たんぱく質30%+脂質60%+炭水化物10%
厚生労働省の生活習慣病予防の割合では、炭水化物の割合は50~65%でした。
ケトジェニックダイエットではかなり厳しい糖質制限が求められます。
ケトジェニックダイエットの場合の炭水化物の摂取割合(10%)にして、前述と同じ条件、つまり身長170cmで筋トレ(活発な運動)もしている場合を計算してみましょう。
例:1.7×1.7×22×35×0.1÷4=55.6g
厚生労働省の基準では約330グラムだった炭水化物摂取量が、ケトジェニックダイエットの場合では50グラム強となります。
炭水化物50グラムは茶碗1杯の白米に含まれる量とほぼ同じです。
そうなると、ロカボ®の推奨量70~130グラムの方がより現実的と言えます。
筋トレによる「筋肥大」が目的なら、1日の糖質摂取量は標準体重×4.5グラムが目安
筋トレで筋肥大を目指すなら、糖質摂取の目安は標準体重×4.5グラムです。
筋肥大目的の場合のPFCバランスは次の割合が目安となります。
たんぱく質20~40%+脂質20%+炭水化物40~60%
たんぱく質の割合が高めになり、糖質の割合がそのぶん低くなります。
身長170cmの人が筋トレをする場合(仮に炭水化物の量を50%として)を例に、計算してみましょう。
例:1.7×1.7×22×35×0.5÷4=278.2g
ハードめの運動をしつつ必要カロリーの50%を糖質から摂取する場合、初めの式をもとに計算すると標準体重×4.5グラム前後が1日あたりの炭水化物摂取量の目安になります。
この例の場合は278.2gなので、無理のない数字なのではないでしょうか。
そもそも「炭水化物」と「糖質」の違いとは?
炭水化物と糖質は、厳密には次のような関係です。
炭水化物=糖質+食物繊維
両者が混同されたりして同じ意味で使われることもよくありますが、糖質に食物繊維を合わせたものが炭水化物です。
糖質は炭水化物の一種、という言い方をしてもいいかもしれません。
とはいえ、食品についている栄養成分表示に「糖質」の項目はあまり見かけないのではないでしょうか。
基本的に食物繊維だけが非常に多い炭水化物食品は少ないので、炭水化物=ほぼ糖質量に相当と考えてもいいでしょう。
糖質は人体のエネルギー源となる物質で、先ほど炭水化物1gに含まれるカロリーは4カロリーと述べましたが、そのほとんどは糖質のカロリーです。
また、米やパンなどの主食系の食品を炭水化物と呼ぶ人がいますが、厳密にいうと米やパンは「炭水化物を多く含む食品」と言った方がいいでしょう。
主食に含まれる糖質量まとめ
それでは次に、主に糖質の多く含む主食について、それぞれ含まれる糖質量をまとめます。
同じ食材でも製品や状態によって多少値が違うので、あくまで目安とお考えください。
- ごはん1杯(150g):54g
- 食パン1斤(360g):160g(6枚切りなら26.7g)
- うどん(ゆで)1玉(250g):50g
- そば(ゆで)1玉(200g):48g
- パスタ(乾燥)1人前(100g):70g
- 中華麺(生)1玉(120g):64g
- 切り餅1枚(50g):25g
- じゃがいも1個(150g):22g
- さつまいも中1/2本(100g):30g
- 里芋2個(100g):10g
- 砂糖大さじ1(9g):8.9g
主食で糖質を大きくカットしつつ、おかずの食材や味付け、おやつに注意することが必要です。
1日あたりの糖質摂取量50グラムは不足? 糖質の摂らなさすぎはNG?
1日50グラム以下の糖質制限を試そうとしている人もいますが、医師の管理なしでそこまで糖質量を減らすのはオススメしません。
糖質が不足する可能性があります。厚生労働省は、低炭水化物ダイエットですら医師や管理栄養士に相談することを勧めています。
つまり、糖質の過剰摂取もよくありませんが、不足もよくないのです。
糖質が不足した場合、次のようになる可能性があります。
- 疲れやすくなる
- 筋肉がエネルギー用に分解され筋肉量が減る(→基礎代謝が低下)
- 脳のエネルギーが不足し集中力が低下する
効果を求めるあまりエスカレートしないようにしましょう。
糖質摂取量を上手にコントロールする方法
糖質摂取量をコントロール・制限するときは、次の点を意識しましょう。
- 腹持ちのいい食品(高タンパク・食物繊維)を食べる
- 夜の糖質摂取を抑える(朝・昼であればエネルギーとして消費されやすい)
まずは「主食を抑えること」「主食を抑えても満足度を下げないようにすること」がカギです。
糖質は、自分の目的に合わせた量を摂取しましょう。
その際は糖質だけを気にするのではなく、塩分やタンパク質など糖質以外の成分・栄養も過不足のないよう注意してくださいね。