【座りすぎ注意】デスクワークはカラダに悪い!?「巻き肩」と「骨盤のゆがみ」を防ぐセルフケア
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【座りすぎ注意】デスクワークはカラダに悪い!?「巻き肩」と「骨盤のゆがみ」を防ぐセルフケア

2020年05月04日

長時間「すわりっぱなし」がおよぼす健康への影響

コロナウイルス感染症の拡大が止まりません。感染症対策のために、在宅で勤務している人も少なくないでしょう。かくいう僕もその一人です。

執筆業なので、もともと在宅での作業が多いのですが、取材や打ち合わせなどもすべてオンラインにしています。実際のところ、zoomに助けられていますね。でもなんだか、ずっとパソコンの前にいると、身体のあちこちに不調が出てきませんか? 僕は首と肩が結構つらいです。腰にも若干の違和感が……。

昨今は、「座りすぎ」の健康上の問題がよく取り上げられるようになりました。立ったままパソコン作業ができる「スタンディングデスク」も、大きな家具屋さんに行けば、何種類か置いてあります。

オーストラリアの医療機関の研究によると(※1)、1日11時間以上座っている人は、4時間未満の場合と人と比べて40%も死亡率が高いといいます。

にもかかわらず、世界20カ国の成人を対象として、座位時間を調べたところ、日本人の平均1日の総座位時間は最長なのだとか……。こんなところで、1位になりたくないなあ。

今回のコロナの影響で、世界各国の人々が自粛で在宅勤務を余儀なくされていますが、もともと座り過ぎの日本人へのダメージは、特に大きいといえるかもしれません。通勤での移動すらもなくなっているわけですからね。コロナに気をつけながら、同時に「座りすぎ」にも気をつけなければならないということでしょう。

 

「エコノミークラス症候群」を予防するための運動

長時間座っていることへの弊害といえば、「エコノミークラス症候群」がよく知られていますね。厚生労働省は、「エコノミークラス症候群」を予防するために以下の運動を推奨しています。

①足の指でグーを作る

②足の指を開く

③足を上下につま先立ちする

④つま先を引き上げる

⑤片方のひざを両手で抱えて足首を回す

⑥ふくらはぎを軽く揉む

【参考】厚生労働省:エコノミークラス症候群の予防のために

 

これは、そのまま座り過ぎへのケアにも使えますね。ぜひ参考にしてみてください。

 

長時間のデスクワークによる「巻き肩」に注意

さて、座りすぎの影響か、僕の肩と首のコリが限界になってきたので、かかりつけで通っている接骨院「ひらく鍼灸接骨院」さんに行くことにしました。

消毒に換気とコロナ対策が万全に行われているなか、鍼灸治療を受けて来ました。1時間の治療後には、肩も首もすっきり!

院長の今田開久先生によると、どうも座る姿勢に原因があるようです。デスクワーク時の姿勢が肩や首に影響を及ぼしているとか。

 

今田先生:パソコンで長時間デスクワークをする際に、まず注意したいのが、巻き肩です。キーボードを打つとき、手が前にいきますよね。そのため、肩全体が前方に移動し、上半身が丸まってしまいやすいです。さらに、パソコンの画面を観ようと、首も前方にいくため、肩や首への負担が大きくなるのですね。

 

 

さっそく、家で妻に写真を撮ってもらったところ、うーむ、確かに姿勢が悪い……。

巻き肩と骨盤のゆがみを防ぐ「おウチでできる簡単セルフケア」

どうも根本的な姿勢の改善が必要そうですが、今日から少しでも改善したいところ。そこで、今すぐ行えるセルフケアとして、今田先生が教えてくれたのが、「キーボードを打つ前に、姿勢を正して肩の力を抜いて、手のひらを一度上に向ける」というもの。

 

今田先生:姿勢を正して肩の力を抜いてから、手のひらを上に向けると、肩がいったん広がります。そこから、手首を返してから、キーボードを打つようにすると、巻き肩になりにくくなります。

 

 

こちらも家でやってみると、確かにこれだけで肩が広がった感じがします。意識一つで結構、姿勢は変わるんですね。

 

 

今田先生:私たちの身体は、正面を向いて直立して、前腕を回外、つまり、手のひらを前方に向けた状態が基本となります。各関節の可動域を測定する際は、これを“解剖学的肢位0度”とします。デスクワーク時に、手のひらを上に向けることは、この解剖学的肢位0度に近づけることになるのです。

 

 

手のひらを前方に向けた「解剖学的肢位」はカラダにとってもっとも負担のない姿勢

パソコン作業をするときは、まず、姿勢を正して肩の力を抜いてから、手のひらを上にして、解剖学的肢位にして身体をリセット。

そこから手首を返して、デスクワークを行うこと。

そして、また休憩時に、姿勢を正して肩の力を抜いてから、手のひらを上にして、肩を広げる。

こうすることで、巻き肩の悪い姿勢が長時間続くことを防げる、というのです。

 

「骨盤を立てる」ことでカラダを正常な位置に整える

デスクワーク時にもうひとつ大事なことが、「骨盤の位置」です。

僕の場合、腰痛はもともとないのですが、長時間の執筆がたたったのか、どうにも腰がダルい状態が続いています。

足を組んでしまう癖があるのも、よくないのかもしれません。骨盤についても、簡単な調節法があると今田先生はいいます。

 

今田先生:椅子の上に、座布団を折りたたんで、お尻の下に半分だけ敷いてみてください。高低差を作ることで骨盤を立てやすくなります。骨盤を立てると、腰椎のカーブが保ちやすく、胸椎や頚椎も正常な位置に整ってきます。

 

 

たしかに、これは腰が楽!

骨盤が立てられず、丸くなってしまうような悪い姿勢だとすぐさま腰痛につながってしまいます。座位のときに上半身を支える骨盤をサポートしてあげましょう。

 

今田先生:胡坐をかくときにも、座布団を重ねて下にひくことで、骨盤が楽になります。セルフケアとして、座禅を組みたいけどできない人にも、この方法はおススメです。

 

 

そうか、胡座の場合でも、こうして座布団をお尻の半分に重ねることで、「骨盤が立つ」感じがします。

こういうちょっとした工夫で自宅でのデスクワークも快適になります。長引く在宅勤務に身体に限界がきていないか、よく身体の声を聞きながら、セルフケアを実践していきましょう。

 

トレーニングの際にも注意が必要

「さすがに運動不足でやばいかも……」

在宅勤務になった者同士が連絡を取り合えれば、必ずといっていいほど、この話になります。みんな気になっているんですね、運動不足が。僕も今年で40歳。基礎代謝も落ちて、年々、太りやすくなってきています。

「在宅勤務でなまった身体を動かそう!」という意欲はもちろんよいことなのですが、急に激しいトレーニングをするのは避けたほうがよい、と今田先生は言います。

 

今田先生:急に慣れない運動をすると、障害を起こしやすいです。また、昔やっていたスポーツを再開するときにも注意が必要です。若い頃の身体とは違うので、少しずつ無理のない範囲から始めて、運動を習慣化してください。

 

 

運動不足の解消にと、手軽なランニングを始める人も多いですが、その際には、十分にストレッチをして準備することが大切。ストレッチには、身体を止めた状態で行う静的ストレッチ動的ストレッチの2種類があり、それぞれ特徴があるそうです。

 

今田先生:一定方向に筋肉を伸ばす静的なストレッチは、運動後に行うと、筋肉痛の予防になります。運動前は、筋肉に柔軟性を持たせる動的なストレッチを行うと、身体もよい準備ができて、ケガの予防となります。動的ストレッチにはいろいろありますが、よく知られているのが、ブラジル体操です。

 

 

ブラジル体操! サッカー部にはおなじみですよね。はい、僕はサッカー部だったので、なつかしい。

さすがに、治療院内で先生にブラジル体操をやってもらうわけにはいきませんでしたが、YouTubeに理学療法士の先生が、わかりやすく紹介してくれている動画がありました。

観てみると「ああ、これがブラジル体操か!」と思う人も多いのではないでしょうか。

 

www.youtube.com

 

デスクワーク時は「座り姿勢」に気をつけながら、無理のない範囲で運動を取り入れ、おウチ時間を健康で楽しく過ごしましょう!

 

(※1) van der Ploeg HP, Chey T, Korda RJ, Banks E, Bauman A. Sitting time and all-cause mortality risk in 222 497 Australian adults. Arch Intern Med. 2012 Mar 26;172(6):494-500.

 

【監修】

今田開久先生(ひらく鍼灸接骨院)

 

【取材協力】

ひらく鍼灸接骨院

東京都調布市西つつじヶ丘3-23-5アーバニティつつじヶ丘1F

TEL:042-444-3789