日本人男性の「性欲」が減退している理由。実はコレステロールの摂取が男性機能復活のカギ!?
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日本人男性の「性欲」が減退している理由。実はコレステロールの摂取が男性機能復活のカギ!?

2020年09月24日

活力あふれる男性でいるために、何が必要なのか──

前回のインタビューでは、

 

・日本人男性の性欲減退の原因のひとつに男性更年期障害がある

 

・その男性更年期は、40歳を境に「テストステロン」という男性ホルモンが有意に下がっていくことが主要因である

 

ということを、新宿マイシティクリニック院長・平澤精一に解説してもらった。

 

▼第1回記事はこちら

 

では、肝心のテストステロンの量を多く保ち、男性としての性欲や活力にあふれ、かつ男性更年期を予防するためには、何をすべきなのか。

 

 

その答えは、私たちが長い間、健康維持の弊害と考えていた「コレステロール」を適切に摂取することが第一であると、平澤先生は語る。

 

インタビュー

平澤精一(ひらさわ・せいいち)

医師。日本医科大学卒業。日本医科大学大学院医学研究科にて医学博士号取得。日本医科大学付属病院、三井記念病院などの勤務を経て、1992年に「マイシティクリニック」を開業、現在は新宿区医師会会長も務める。健康寿命に深くかかわる「テストステロン」の研究者として、「熟年期障害」の治療、高齢者の健康を守る取り組みを数多く実践。著書に『枯れない男になる30の習慣』(幻冬舎)、『熟年期障害』『長生きの切り札! 亜鉛チャージ健康法』(アスコム)など。

ホームページ:新宿マイシティクリニック

 

もはやコレステロールは悪者じゃない

──テストステロンの量を保つには、コレステロールの適度な摂取が大事なんですね。とはいえ、コレステロールといえばカラダによくないイメージがあるのですが。

 

平澤:コレステロールはメタボリック症候群の原因になるとされ、生活習慣病予防の観点でつねに悪者扱いされてきました。しかし、今では大幅に見直され、決して身体に害を及ぼすだけではないことがわかっています。
なにより重要なのは、テストステロンを生成する主材料こそが、コレステロールなのです。
危険なのは「過剰摂取」であり、適度にコレステロールを摂ることはむしろ推奨すべきであると、私は10年以上前から主張し続けています。

 

 

──むしろ適度な量のコレステロールは摂取すべき、と。

 

平澤:これまでコレステロールは、心筋梗塞など動脈硬化をもたらすとされてきました。
事実、日本人間ドック学会が定める「TC(トータル・コレステロール/体内にある総コレステロールの数値)」の基準値は140〜199mg/dlとされており、この数値が多すぎると動脈効果など生活習慣病を引き起こし、少なすぎると不安神経症を誘発するとされてきました。

 

──なるほど、コレステロールには摂取基準値があったんですね。

 

平澤:ですが平成30年4月の厚生労働省の改定で、日本人の食事摂取基準からコレステロールの上限値が撤廃されたんです。
もはやコレステロールに「摂りすぎ」という基準値はない。私はコレステロールの値は180mg/dlから200mg/dlが望ましい、そしてとくに生活習慣病のない人であれば240mg/dlでも問題ないと考えています。

 

 

【参考記事】

食事からの摂取基準が撤廃されたコレステロール ――しかし注意しなければいけない点は? | はじめよう!ヘルシーライフ | オムロン ヘルスケア 

 

コレステロールを適度に摂取して「枯れない男」になる

 

──ずっと「コレステロールはよくない」と教えられてきたと思います。つまり、これまでの健康の常識が覆された、と。

 

平澤:日本では、生活習慣病予防のため、TCを基準値下限の140〜150 mg/dlに抑えるということをしてきました。
内科では、そうせざるを得なかったのでしょう。数値を低く抑えずに心筋梗塞などが起きたら命に関わりますからね。
しかし、その結果、テストステロンが大幅に減少した男性が増えてしまったともいえます。今やコレステロールは、バランス良く摂取する時代に転換したといっていいでしょう。

 

──そもそもコレステロールを含む食品には、卵、ヒレ肉、レバー、魚卵、そして乳製品と、男性が好んで食べたがる食品が多いですよね。レバーに至っては、前回の記事で補うべきとされた亜鉛も十分に含んでいます。

 

平澤:また、コレステロール値が低く180以下mg/dlだと、ビダミンDの活性化が悪くなり、カルシウムの代謝もうまくいかず、いらいら感が増してしまうんです。
特にビタミンDは感染症予防に役立っていることから、欠乏していると免疫系が弱り、新型コロナウイルスにも感染しやすい。

 

 

平澤:このように、ビタミンDやカルシウムにも影響を及ぼすのだから、今後はコレステロールを無視できないでしょう。ただし、人間ドックではTCを診断の基準から外してしまった。だからこそ、これからは関心を持ち、数値を自分なりに把握しておくことが求められると思います。

 

──自分のコレステロール値を把握するには、どうしたらいいですか。

 

平澤:定期的に病院に行き、自分の数値を調べてもらってはどうでしょうか。「コレステロールの適度な摂取=テストステロンの維持=枯れない男の条件」と考えれば、面倒くさがらずに自分の数値を知っておくことも大事です。

 

几帳面で完璧主義者の人ほど「男として枯れてしまう」

 

──人間ドックや病院での検査でテストステロンを維持できているか検査することができるんですね。とはいえ、なかなか病院に足を運ぶのは面倒です。もっと簡単な診断方法はないのでしょうか。

 

平澤:…あります。じつはいわゆる「朝勃ち」をしているかどうかも目安になります。朝目覚めた時、ペニスが勃起しているかどうか。これが旺盛な性欲、活気ある性機能を測る原点なのですが、意外と熟年男性はこの点に無頓着ですね。

 

 

──「朝勃ち」ですか……そういえば最近、どうだろう……。

 

平澤:「私の医院に診察に来る患者さんは、「なんとなく意欲がわかないんです」と皆が口を揃えるのですが、「朝勃ちはありますか?」と尋ねると、「あ、そういえば……ないです」といいます。
自覚症状として、もっとも大切、かつ身近でわかりやすい問題なのに無関心。とはいえ、ここに無関心だからこそ、男性機能が枯れかけているのを今まで見過ごしていたともいえるのですが。

 

──ちなみに「男性機能が枯れやすいタイプ」みたいなものはあるのですか。

 

平澤:長い間いろいろな患者さんを見てきましたが、男性機能が枯れやすいタイプの男性として、以下のような特徴が挙げられます。

 

 

・仕事は事務系のデスクワークで、長時間、机に向き合っている

 

・几帳面かつ真面目な完璧主義者だが、ストレスの発散方法がない

 

・職業は特定できないが、あえていえば経理畑やプログラマー、銀行員や税理士。また年齢は40代の中間管理職など、ミスが許されずストレスを受けやすい職業の男性が多い

 

・ファッションはグレー、紺などのあたりさわりのないスーツを着ている

 

 

──ストレスを受けやすい職業で、真面目な性格の方が多そうです。

 

平澤:長時間のデスクワークは前立腺を圧迫し、テストステロン維持の障害になります。最近のリモートワークの増加で、勤務先にだけとどまらず、家に持ち帰って座ったままの姿勢で長時間仕事しているのですから、それは息も詰まるでしょうし、前立腺にもよくないですね。

 

 

──コロナ禍によるリモートワークがもっと普及したら、通勤の時間もないですし、デスクワークばかりで運動の時間も減りそうです。コロナが、日本人男性の性欲さえ奪おうとしているのかもしれませんね。

 

平澤:それと、在宅ワーク中心になってきて外に出なくなるせいで、次第に容姿にも無頓着になってしまいがちです。自宅で机に座ってばかりいれば、女性からカッコよく見られたいという、男として当然の見栄さえもなくなってしまうでしょう。

 

 

「女性にモテたい」という気持ちもテストステロンの生成に役立つ

 

──女性からよく見られたい、モテたいという気持ちもテストステロンの生成にとって重要ということですね。

 

平澤:男性は他人と競い合い、戦い、闘争本能を磨かないと、雄(オス)の本能を忘れ去ってしまうものなのでしょうね、スポーツが得意な男性が女性にモテるのは、やはり他人と勝負している姿が魅力的に映るからといえます。

 

 

──とはいえ、スポーツが不得手という方もいると思います。そういう男性はどうやってテストステロンの数値をあげればいいのでしょうか。

 

平澤:そういう男性は、女性が多く在籍している趣味の会やサークルなどに所属し、異性と接する機会を増やすことが大事です。そうすることで、自然と外見にも気を配るようになります。その結果、テストストロンが上昇してくるということもあり得ます。

 

・・・

 

アクティブに行動し、くよくよと細かいことは悩まない。

女性と接する場所に積極的に顔を出す。

どうやら、それがテストステロン維持のキーポイントといえそうである。

 

次回では、実践編として「老けない男性」になるために具体的に心がけたいことを聞きます。

 

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