コロナで予備軍が急増中?筋力が低下してしまった状態「フレイル」「サルコペニア」を知っていますか
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コロナで予備軍が急増中?筋力が低下してしまった状態「フレイル」「サルコペニア」を知っていますか

2020年08月06日

若年層にも増えている? そもそも「サルコペニア」「フレイル」とは

最近耳にすることが多くなった「サルコペニア」「フレイル」という言葉。

サルコペニアとは、加齢とともに筋肉量が減り、筋力が低下した状態をいいます。またフレイルは「虚弱」という意味の造語です。

サルコペニアについては、もともとは高齢者の健康問題として話題になっていますが、実はミドル~シニア世代や、若い女性にも予備軍がいて、注意が必要と言われています。

コロナ渦の影響でステイホームが叫ばれ、多くの人の働き方がリモートワークなどにシフトしている昨今、慢性的な運動不足に悩まされている人が増えているのではないでしょうか。

 

筋肉量の減少は、20~30代から始まります。

またダイエットによる筋肉量の低下もサルコペニアの原因になります。

そのため、デスクワーク中心で運動不足になりがちな40代をはじめ、若い女性にもサルコペニア予備軍がいると言われています。

また最近は、肥満が重なった「サルコペニア肥満」の人も増えており、単なる肥満よりも疾病リスクが高いとされています。

 

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【参考記事】

・サルコぺニア | e-ヘルスネット(厚生労働省)

・肥満より怖い「サルコペニア肥満」 食事と運動で筋肉低下を予防|一般社団法人日本生活習慣病予防協会

 

サルコペニアの症状──日常生活に支障をきたす

 

サルコペニアになると、日常生活に支障をきたします。具体的には次のような症状が挙げられます。

 

・歩くことが困難になる

・転びやすくなる

・食べ物が上手く飲み込めない

 

これらの症状は日常の動作に深く結びついており、QOL(※Quolity of life/生活の質)にかかわるものです。

症状が出ている場合は治療が必要ですし、出ていなくても予防することが望ましいと言えます。

 

サルコペニアとフレイル

 

サルコペニアとともによく聞かれる言葉に、「フレイル」があります。

サルコペニアは筋力が低下した状態のことでした。

これに対し、フレイルは「虚弱」という意味の造語です。

次の5つのうち、3つ以上に当てはまるのが「フレイル」とされます。

 

・体重減少:6か月間で2~3kg 以上の(意図しない)体重減少があった

・倦怠感:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

・活動量:「軽い運動・体操」「定期的な運動・スポーツ」のいずれもしていない

・握力:(利き手)男性26kg 未満、女性18kg 未満

・通常歩行速度:1m/秒未満の場合

 

フレイルの原因にはさまざまなものがありますが、サルコペニアもその1つといえます。

 

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なぜ、フレイルになってしまうのか──その要因とは

 

・身体的要因:サルコペニア、口腔機能低下、運動器障害

・精神・心理的要因:軽度認知障害、うつ、認知症

・社会的要因:引きこもり、独居

 

健康的・活動的に暮らしQOLを高く保つためにも、サルコペニアの治療・予防は重要です。

 

【参考記事】

・フレイルの進行に関わる要因に関する研究(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)

・健康長寿社会におけるフレイルの考え方とその意義(予防医学 第60号 西原恵司、荒井秀典)

 

サルコペニアになっているかどうかの診断基準

サルコペニアかどうかの診断は次の順で行います。

 

・握力測定 基準:男性26kg・女性18kg

・歩行速度 基準:0.8m/秒

 

↓ どちらかか基準値を満たさない場合

 

・筋肉量測定

(CT検査による測定の場合)基準:男性42㎠/㎡ 女性38㎠/㎡

(BIAによる測定の場合)基準:男性7.0kg/㎡ 女性5.7kg/㎡

 

握力・歩行速度が基準値以上ならば健康です。もし、基準値以下なら筋肉量を測定します。

そして、筋肉量が基準値に満たなければサルコペニアです。

握力・歩行速度が基準値以下でも筋肉量が基準値以上の場合はサルコペニアではありません。しかしほかの疾患の可能性が考慮されます。

サルコペニアの診断は、内科や老年病科で行っています。

診断を希望する場合は、あらかじめ診断が可能か確認しましょう。なお最近はサルコペニア外来がある病院もあります。

 

【参考記事】

・サルコペニアの診断方法は?|エーザイの肝疾患サポートサイト

 

サルコペニアかどうか自分でチェックする方法

 

日常生活の中でサルコペニアのセルフチェックができます。次の3点を確認してみてください。

当てはまる数が多いほどサルコペニアの疑いが高いと言えます。

 

サルコペニアのセルフチェック①

 

・青信号の間に横断歩道を渡り切れない

・手すりにつかまらないと階段を上れない

・ペットボトルのキャップが開けにくい

 

疑いがある場合は、さらに次の方法でも確認しましょう。

 

サルコペニアのセルフチェック②

 

A.利き足でない方のふくらはぎの一番太いところを両手の親指と人差し指で囲む

B.眼を開けたまま片足で何秒立てるか時間を測る(両足行う)

C.両手を交差して胸に当てて椅子に座る→立ったり座ったりを5回繰り返して時間を測る

 

チェック結果の評価は次の通りです。

 

A. 掴めない……可能性が低い 掴めて指と脚の間にすき間ができる…可能性が高い

B. 8秒以上……可能性が低い (左右どちらかだけでも)8秒未満…可能性が高い

C. 10秒未満……可能性が低い 10秒以上…可能性が高い

 

もし、サルコペニアの可能性があるなら専門医の診断をおすすめします。

 

【参考記事】

・サルコペニアは自分でチェックできる?|エーザイの肝疾患サポートサイト

 

サルコペニアになるのを予防するための方法


サルコペニアの予防には、筋肉と骨を増強・強化することが必要です。

サルコペニアは筋肉量の減少と筋力低下が原因なので、それを改善すれば症状も解消します。

またサルコペニアの状態だと、筋力が低下しているせいで転倒しやすくなっています。

転倒による骨折のリスクを防ぐため、骨も強化しておく必要があります。

予防には2つの方法があります。両方とも行いましょう。すでに疑いがある人・治療が必要な人も同じく両方行いましょう。

 

・運動で予防する

・食事で予防する

 

それぞれ具体的に見ていきます。

 

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「運動」でサルコペニア予防をするには

 

サルコペニアの予防としては、運動の中でもとくに筋トレが有効です。

転倒の対策のためにも足腰を鍛えましょう。転倒が不安な場合は椅子の背につかまって行いましょう。

 

・スクワット

・太ももを高く上げての足踏み

・つま先立ちをしたり戻ったりの繰り返し

 

それぞれ1日10~20回を目安に行います。慣れてきたら回数を増やしたり負荷の高いトレーニングを行ったりしましょう。

そのほかタオルを使った運動などで体幹を鍛えるのもおすすめです。姿勢が改善されます。

いきなり筋トレを行うのが難しければ、ウォーキングなど有酸素運動から始めましょう。あるいは日常生活での活動を意識して行うことで運動量を増やすこともできます。

 

・買い物は歩いていく

・家事の活動を意識してこまめに行う

・外出先ではエスカレーターやエレベーターではなく階段を使う

・テレビを見ながら体操する

 

などの方法が考えられます。

 

【参考記事】

・QOLの維持・向上に大切な筋肉は? | e-ヘルスネット(厚生労働省)

・サルコペニア予防における運動の重要性|エーザイの肝疾患サポートサイト

 

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「食事」でサルコペニア予防する

 

食事によるサルコペニアの予防としては、次の3種の栄養を意識して摂ることが効果的です。

 

・たんぱく質(筋肉をつくる) 多く含む食品:豆製品、肉類、卵など

・ビタミンD(カルシウムの吸収促進) 多く含む食品:魚介類、たまご、きのこなど

・カルシウム(骨を作る) 多く含む食品:乳製品、小魚など

 

とくにたんぱく質を十分に摂るようにします。

なおサルコペニアの治療として筋肉量を増やす必要がある人は、体重1kgあたり1.2~1.5gのたんぱく質が必要とされます。60kgの人なら72~90g必要な計算です。

 

たんぱく質の量の目安:鶏むね肉1枚(約300g)……約70g、豆腐1丁(300g)……約20g

 

若い女性や40代でも予備軍がいるサルコペニア。

今から筋肉量を減らさない・増やすことで予防しておき、QOLを高く保ちましょう。

 

【参考記事】

・サルコペニア、フレイルとは|食彩たより 40号|東京医科歯科大学

・肥満より怖い「サルコペニア肥満」 食事と運動で筋肉低下を予防|一般社団法人日本生活習慣病予防協会

 

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