脳が幸せを感じる方法。腸内を善玉菌優位にすると幸せホルモン「セロトニン」がドバドバ産生される!
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脳が幸せを感じる方法。腸内を善玉菌優位にすると幸せホルモン「セロトニン」がドバドバ産生される!

2023年08月23日

 

腸内環境を善玉菌優位にすると、幸せを感じやすいって知っていますか?

「腸内フローラ」とも呼ばれる理想の腸内環境になると、「幸せホルモン」が産生されて、ハッピーな感情を覚えやすくなるんだとか。

最新刊『脳のスペックを最大化する食事』(ハーパーコリンズジャパン・刊/広川慶裕・著)が話題の精神科医の広川先生に解説していただきました!

 

インタビュー

広川慶裕(ひろかわ・よしひろ)

精神科医、認知症予防医。京都大学医学部卒業。認知症やうつ病、統合失調症などの精神疾患治療に携わる。メンタル産業医としても活躍中。認知症予防専門クリニック・ひろかわクリニック(宇治駅前MCIクリニック)、脳とこころの健康相談室(品川駅前MCI相談室)院長を務める。著書に『もの忘れ・認知症が心配になったら読む本』『認知症は予防できる!』『「認トレ®」で防ぐ認知症―完全4週間メソッド』『脳が若返るまいにちの習慣』『運転の認知機能を鍛える本』など多数。

・ひろかわクリニック:http://www.j-mci.com

 

腸内環境を最適化するために 「たっぷりの食物繊維」を摂取する

腸脳相関」という言葉をご存じでしょうか。

腸脳相関とは腸と脳がお互いに影響を与え合うことで、実際に腸と脳がそれぞれ関連し合って機能していることが科学的にもわかっています。

たとえば「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、その90%が腸で作られるもので、血流に乗って脳に送られ、脳の神経細胞に取り込まれて活性を持ちます。

腸内に多くの菌が存在している状態=腸内フローラが良好なとき、こうしたホルモンの産生も活発になります。つまり、腸内フローラが良好な状態にあると、脳にもいい影響があると言えるのです。

 

たっぷりの食物繊維を摂取することで、腸内を善玉菌優位に

 

「腸内フローラが良好な状態」とは、腸の中に存在する「腸内細菌」のバランスがとれている状態だと言い換えることができます。

腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日ひよりみ和見菌に分類されます。このうちの善玉菌が腸内で多く、悪玉菌よりも数的に優位になっている状態が腸内フローラの良好な状態です。

善玉菌が数的に優位な状態を作るためには、たっぷりの食物繊維を補給してあげることが必要です。人間には食物繊維を分解する力がありませんが、じつは腸内細菌がその役目を果たしているのです。

 

腸内に入った食物繊維は善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やします。さらに、食物繊維には悪玉菌を減らしてくれる効果もあります。こうして、食物繊維を積極的に取ることで腸内環境が最適化されるのです。

さらに善玉菌は、食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を作ってくれます。

短鎖脂肪酸は腸内環境を整えるために使われたり、ケトン体を作るための原料となったりします。

 

善玉菌優位の腸内環境にすることで、セロトニンがドバドバ分泌される!

 

 

つまり、腸内で短鎖脂肪酸が作られることで、脳やカラダのエネルギー源が増えるのです。

善玉菌優位の腸内環境は、脳で使われるセロトニンなどのホルモンの産生と脳やカラダのエネルギーの産生という2つの意味で、私たちのカラダにとってプラスとなります。腸内細菌のうち、じつは悪玉菌にもタンパク質を消化する働きなどがあり、人体になくて はならない存在です。ただし、悪玉菌が増えすぎると有害物質を発生させてしまい、腸内フローラを悪化させてしまう原因になります。

 

また動脈硬化や糖尿病など、生活習慣病のリスクを高め、老化の原因にもなります。つまり、悪玉菌を増やしすぎないことが大切なのですが、悪玉菌のエサは動物性タンパク質や脂質。ということは、糖質制限のやり方によっては悪玉菌を増やしすぎてしまいかねません。

その点からも、意識的に野菜などの食物繊維をたっぷり取って善玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを取ることが大切というわけです。

なお、脳は腸に栄養の吸収の指令を出していると考えられています。

ヒトのカラダには「迷走神経(めいそうしんけい)」と呼ばれる脳と腸のやり取りを担う神経があり、この迷走神経を通じて脳から腸、腸から脳へと情報を交換して、お互いが活用し合える状態を作っているのです。

 

腸内環境を良好にする「食物繊維を多く含む食べ物」とは

 

腸内環境を改善してくれる食べ物である食物繊維は、モロヘイヤやごぼうなどの野菜、昆布やひじき、わかめなどの海藻、さつまいもなど芋類、きのこ類などに豊富に含まれています。

こんにゃくや寒天のような加工食品や、のり、干ししいたけなどの乾物も食物繊維の多い食品です。

毎日の食卓のメニューをにぎやかにして、意識して食物繊維を取りましょう。また玉露などお茶にもたっぷり含まれていますので、お茶は粉茶にして茶葉ごと飲むといいでしょう。

なお食物繊維を食事から取るというと、よく玄米が挙げられます。玄米は、たしかに白米よりも外皮の部分に多くの食物繊維を含んでいますが、主な成分は糖質です。その意味ではあまりおすすめできる食材ではありません。

 

また善玉菌には乳酸菌やビフィズス菌、酵母菌や麹菌などがありますが、この善玉菌そのものを含むプロバイオティクス(発酵食品や整腸剤など)を食物繊維とセットで取ることが重要です。

食物繊維が、これらの善玉菌のエネルギー源、いわばエサとなるのです。 要約すると、腸内で善玉菌が優位になることで、善玉菌が腸内で短鎖脂肪酸を産生してくれるようになります。短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の活動を抑制し、便通を良好にしたり、抗炎症作用を働かせて腸のバリア機能を高めたりと、非常に有益な作用をします。

しかも短鎖脂肪酸は腸管から吸収され、全身のエネルギー源にもなります。さらに交感神経などの神経細胞とも結合して、神経や脳を活性化させることもわかっています。

善玉菌優位の腸内フローラは、脳とカラダに最高のベネフィットをもたらすのです。

 

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