筋トレするなら腹筋よりスクワットを優先した方がいい理由【正しいスクワットの方法】
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筋トレするなら腹筋よりスクワットを優先した方がいい理由【正しいスクワットの方法】

2020年06月11日

「筋トレ=腹筋」のイメージになっていませんか

筋トレでどんな身体を目指すのか――。

理想の身体のイメージはさまざまだと思いますが、「腹筋の割れたお腹」への憧れは、多くの人に共通しているのではないでしょうか。

目線を下げればすぐ視界に入ってくる、たるんだお腹。鏡で自分の裸を見て、

「このメタボなお腹をなんとかせねば!」

と一念発起してトレーニングを始める人は、今こうして原稿を書いている瞬間にも全国各地で誕生していることでしょう。

そのため、いざ筋トレを始めるときに、つい腹筋運動ばかりをしてしまいがちです。

 

しかし、実は引き締まった身体を手に入れるためにまず欠かせないのは、むしろ「殿筋」のトレーニング=スクワットなのです。

 

 

筋トレの効果を上げるには、鍛える筋肉を意識することが大切。知られざる殿筋のパワーから、まずは解説していきましょう。

 

スクワットで鍛えられる「殿筋パワー」は運動に欠かせない

なぜ、腹筋よりも殿筋から鍛えるべきなのか。その解剖学的な位置を見てもらえれば、わかるでしょう。

殿筋のなかで、もっとも大きな筋肉が大殿筋です。その名のとおり、殿部に位置しています。「腸骨稜の後方1/4」「仙骨と尾骨の腸骨近くの後面」「腰背筋膜」を起始部とし、「大転子外側面」や「大腿筋膜張筋の腸脛靭帯」を停止部としています。

 

 

注目したいのは、大殿筋の一部は、仙結節靱帯ともつながっており、股関節の強力な伸筋、外旋筋としての役割を合わせて、仙腸関節の安定化という役割も持っているということです。

また、大殿筋は、胸腰筋膜を通して、反対側の広背筋にもつながっています。

そのため、大殿筋の筋力が低下すると、仙腸関節を故障しやすくなり、広背筋への負担が大きくなることになります。

「大殿筋=殿部のみに働く筋肉」というイメージを持ってしまいがちですが、まずは腰部や背部にまで影響をおよぼすことを、理解しておきましょう。そのことは、そのまま大殿筋のトレーニングを行う意義にもつながります。

 

大殿筋は、骨盤と大腿骨が接近して、股関節が15°以上伸展されたときに動く筋肉で、機能は以下のようになります。

 

・股関節の伸展
・股関節の外旋
・股関節の内転の補助(下部の筋線維)

 

歩行時にはさほど使われない大殿筋ですが、ランニング、ホッピング、スキップ、ジャンプといった動作で大殿筋は活躍します。

 

 

さまざまな運動を行うときに、私たちは、知らず知らずのうちに、大殿筋をフル活用しているということですね。

一方、歩行時に使うのが、中殿筋と小殿筋です。

 

 

もし、中殿筋と小殿筋の力が弱いと、歩行時に肩が左右に揺れる「トレンデレンブルグ歩行」になってしまい、骨盤にゆがみが生じます。

特に、中殿筋は骨盤を安定させるうえでも大切な役割を果たしているので、大殿筋と合わせてトレーニングしていくとよいでしょう。

 

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効果的に痩せるためには、「大きな筋肉」から鍛える

殿筋のトレーニングは、ダイエットにも効果的です。

なぜなら、筋肉を鍛えて、基礎代謝量を上げるには「大きな筋肉」から鍛えるのが、効率的だからです。

 

特に、「大殿筋」「大腿四頭筋」「ハムストリング」で、全身の筋肉の約50%を占めているともいわれています。

 

ということは、下肢へのトレーニングを行うだけで、全身における筋肉の半分が鍛えられることになります。

腹筋だけではなく……いや、ダイエットの観点からは、腹筋よりもむしろ、下肢の筋肉を優先的に鍛えるのがよさそうですね。

 

 

股関節を伸展させる「スクワット」は、まさに「大殿筋」「大腿四頭筋」「ハムストリング」を鍛えるのにもってこいの、ある意味、最強の筋力トレーニングです。

スクワットを日々行うことによって、下記のような効果が期待できます。

・基礎代謝の向上(太りにくい体質に変化)
・お腹の引き締め(筋力増加により消費カロリーアップ)
・殿部の引き締め(お尻全体が引き締められる)
・姿勢の改善

 

糖尿病やロコモティブシンドロームの予防にも

そのほか、スクワットの効果は、さまざまな面から期待されています。

運動療法が必要な糖尿病患者61人(男性36人、女性25人)に対して、スクワットを行った実験があります 1)

スクワット用運動用具を用いて、各患者が自宅で朝夕に各5分のスクワットを行って、6ヵ月継続。その結果、1~2ヵ月間における血糖値を反映するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)に、0.4 %の改善がみられました。

つまり、糖尿病の予防にもスクワットは有効なのです。

 

また、日本老年医学会によるロコモティブシンドローム(※運動器症候群。骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、 「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態のこと)のガイドラインでも、QOL(Quality of Life:生活の質)やADL(Activitiesof Daily Living:日常生活動作)に有効性があるとして、スクワットが推奨されています 2,3)

さらに、運動不足が問題視されるなかで、WHOでのガイドラインでも、週2回以上、大きな筋肉のレジスタンス運動が勧められています 4)

レジスタント運動とは「標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動」のことです 5)

・【参考】厚生労働省・e-ヘルスネット:レジスタンス運動 5)

 

糖尿病やロコモティブシンドロームの予防のためのレジスタント運動としても、スクワットは日課に必ず取り入れておきたい習慣といってもいいすぎではないでしょう。

 

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正しいスクワットの方法

厚生労働省は「安全かつ効果的に足腰を鍛える方法」として「椅子スクワット」を推奨しています。

これは「椅子から立ち上がって座る」というごく簡単なもの。膝に不安がある人は、まずはこのあたりからスタートしてもよいかもしれません。

・【参考】厚生労働省・e-ヘルスネット:安全かつ効果的に「足腰」を鍛える方法 6)

 

またスクワットを行うにあたって、気をつけたいのが「姿勢」です。

上記の厚生労働省によるe-ヘルスネットでも、こう説明してあります。

 

「膝を痛めないように安全にスクワットを行うためには、お尻を後ろに引いて上体をやや前傾し、膝が前に出ないフォームで行う必要があります」

 

正しい姿勢でスクワットを行うことで、「大殿筋」「大腿四頭筋」「ハムストリング」を効果的に鍛えることができます。

その具体的な方法として、お笑い芸人のなかやまきんに君が、youtube動画で説明してくれています。

 

 

動画によると、ポイントは「胸を張って身体をまっすぐに保つこと」と「かかとに体重を乗せること」の2つ。

肩幅の約1.5倍に足を開き、つま先はやや外に向けます。そして、そのつま先と同じ方向に、膝を曲げていきます。

トレーニングに慣れてきて、もう少し負荷をかけて行いたい場合は「スロー to クイック スクワット」に挑戦してみてもよいかもしれません。筋肉に負荷をかけ続けるトレーニングですので、決して無理はしないようにしましょう。

 

 

「腸腰筋」「大腰筋」も合わせてエクササイズした方がいい

また、スクワットで「大殿筋」「大腿四頭筋」「ハムストリング」を鍛えながら、合わせてエクササイズで強化したいのが、腸腰筋です。

 

 

というのも、腸腰筋は殿筋の拮抗筋にあたります。拮抗筋とは、互いに相反する運動を行う2つの筋肉のこと。拮抗筋である腸腰筋が緊張することで、大殿筋の働きが阻害されて、大殿筋の筋力低下を招いているケースもあります。

そのため、腸腰筋の一部である、大腰筋をトレーニングすることで、殿筋の強化につながります。

また、大腰筋自体も、上体と下肢をつなぐ筋として非常に重要です。

 

大腰筋も殿筋と同様に、座位の姿勢が続くことで疲弊しやすい筋です。

デスクワークが多いビジネスマンは、特に大腰筋へのダメージが大きいです。スクワットで殿筋を鍛えながら、下記の3つの大腰筋エクササイズ(ウインド・ミル/上体起こし/ローマン・チェア・ロテーショナル・クランチ)も取り入れて、しっかりと身体をケアしていきましょう。

 

 

また、骨盤を立てて、殿筋をサポートする、タオルを使ったセルフケアもあるので、ぜひ実践してみてください。

 

 

これらのトレーニングを続けるコツは、「意識づけ」を行うこと。

なかなか筋トレが続かない人は、筋肉に意識を向ける行動を日課に取り入れていくと、自然とトレーニングに入れそうです。

例えば、この記事を毎日読むだけでも、自然と身体を動かしたくなるはずですから。

さっそく今日から、スクワットと大腰筋トレーニングで、下肢を徹底強化して、正しく効果的に、美しい身体づくりに励んでいきましょう。

 

【参考文献】
1) 板東浩, 菅 正夫, 竹中優子, 横山宏樹, 中村巧, 鴻池清司. スクワットの効果的トレーニング~糖尿病に対するハイスクワットの試行. Glycative Stress Research 2016; 3 (2): 65-73.
2) Nakamura K. Locomotive syndrome. Japanese Journal of Geriatrics. 2012; 49: 393-401.
3) Locomotive syndrome-pamphlet 2015. The Japanese Orthopaedic Association. https://www.joa.or.jp/jp/public/locomo/locomo_pamphlet_2015.pdf
4) World Health Organization (WHO). Global recommenda-tions on physical activity for health. WHO Press, Geneva, Switzerland, 2010.
5) 厚生労働省・e-ヘルスネット:レジスタンス運動
6) 厚生労働省・e-ヘルスネット:安全かつ効果的に「足腰」を鍛える方法
7)Gibbons, J.2009.“Putting maximus back into the gluteus,”International Therapist 87,32-33.
8) Gibbons, J. 2008.“Preparing for glory,”International Therapist 81,14-16.
9) Richardson, C., Jull, G., Hodges, P., and Hides, J. 1999. Therapeutic Exercise for Spinal Segmental Stabilization in Low back pain: Scientific Basis and Clinical Approach, Edinburgh: Churchill Livingstone.(翻訳書『脊椎の分節的安定性のための運動療法:腰痛治療の科学的基礎と臨床』エンタプライズ,2002)

 

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